
診療科長 教授
山岸 昌一
山岸 昌一
同窓会で数十年ぶりに再会した友人を見て、内心「ずいぶんと老けたな~」とか、「なんて若々しくて素敵なんだろう」と思ったりした経験がおありだと思います。また、同い年でも病気知らずのヒトがいる一方で、両手一杯の薬を飲まないと病気をコントロールすることができないヒトもいます。昭和大学糖尿病・代謝・内分泌内科では、健康で若々しく自立して生活できる期間(健康寿命)をできるだけ伸ばすため、この違いは、いったいどこから来るのか?また、どうすれば、老いのスピードをゆっくりとさせ、いつまでも心と身体の健康を維持できるか?について、日々、啓発活動や研究を行っています。
一連のこれまでの取り組みから、人間の身体を作っている屋台骨とも言えるタンパク質と貴重なエネルギー源である糖とが、過剰に反応することでタンパク質が糖まみれになり、変性、劣化してくることが老化の大きな原因であることがわかってきました。この糖が過剰にこびりついたタンパク質は、終末糖化産物(AGE;エージーイーと読む)と呼ばれ、AGEが身体の中に溜まっているヒトほど、糖尿病、心臓病、アルツハイマー病、がん、慢性腎臓病、脂肪肝、更年期障害、歯周病、不妊、白内障などの病気にかかりやすくなること、そして老化が急速に進み、寿命が短くなることが明らかにされています。糖尿病や予備群の方では、血糖値が上昇することからAGEの蓄積が進んでしまう可能性が高く、初期からの血糖管理と合併症のチェックが特に大切になってきます。
さらに、AGEは我々が日頃口にする食品の中にも含まれていて、食品中のAGEの7%ほどが体内に取り込まれてしまうことも明らかになってきました。一般的に、肉製品や脂肪に富む食材を高温で揚げたり、焼いたりした際、AGEが多く生成されることがわかっています。つまり、茶色の色目のついた食べ物には、AGEが多く含まれているわけです。一方、水分を多く使って長い時間をかけ、ゆっくりと蒸したり、茹でたりする調理法はAGEを生成させにくくなります。また、ブドウ糖に比べ、果糖(フルクトース)は約10倍AGEを形成しやすいため、フルクトースコーンシロップを多く含む炭酸飲料の過剰摂取にも気をつける必要があります。
我々は、世界に先駆けて血液中のAGEを測定する方法を確立させ、これまでに6,000名以上の方々のAGEを測ることで多くの老年病とAGEの数値が相関することを示してきました。また、最近では、身体に溜まっているAGE量を1分ほどで簡単に測定できる機械も開発され、この機械で測定したAGE値が高いヒトほど老化が進んでいて、寿命が短くなることも明らかにされています。昭和大学糖尿病・代謝・内分泌内科では、このような検査を行うことができ、体内の老化度を数値として具体的に知ることもできます。そして、AGEを溜め込まない食事や生活習慣に関してキメの細かい指導を受けることもできるのです。
昭和大学糖尿病・代謝・内分泌内科では、これまでテレビ、新聞、雑誌を通じて、AGEに関する啓発活動を行ってきましたが、これからも引き続いて最新の情報を発信していこうと思っています。また、我々は、動物モデルにおいて、AGEの作用をブロックする医薬品の開発にすでに成功しており、臨床応用に向けて寝食を忘れて研究にも取り組んでいます。一人でも多くの患者さんに幸せになって頂き、健康を保っていって頂けるよう医局員一同、努力して参ります。昭和大学糖尿病・代謝・内分泌内科に気軽に健康相談においで頂ければと存じます。
外来担当表
診療担当医紹介
常勤医師 | 役職 | 専門領域 | 資格・所属学会 |
---|---|---|---|
山岸 昌一 | 主任教授 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医 日本循環器学会循環器専門医 日本高血圧学会高血圧専門医 日本抗加齢協会理事 日本内分泌学会評議員 日本老年医学会代議員 日本抗加齢医学会評議員 日本メイラード学会役員 日本糖尿病性腎症研究会幹事 脳心血管抗加齢研究会評議員 |
福井 智康 | 准教授 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 |
日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医・評議員
日本内科学会認定内科医・指導医
臨床研修指導医 |
森 雄作 | 抗糖化寄付講座 准教授 |
糖尿病・代謝・内分泌領域 |
日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医・評議員
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本内分泌学会内分泌代謝科専門医・指導医 日本動脈硬化学会評議員 |
山本 剛史 | 留学中 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 |
日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本内分泌学会内分泌代謝科専門医 日本生活習慣病学会認定管理指導医 |
小原 信 | 講師・診療科長補佐 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医・評議員 日本老年医学会老年病専門医・指導医・代議員 日本内科学会認定内科医・指導医 臨床研修指導医 |
寺崎 道重 | 講師 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医 日本内科学会認定内科医・指導医 日本再生医療学会再生医療認定医 日本生活習慣病学会認定管理指導医 臨床研修指導医 |
広村 宗範 | 講師・病棟長 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医 日本内分泌学会内分泌代謝科専門医・評議員 臨床研修指導医 |
九島 秀樹 | 講師 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医 臨床研修指導医 |
高橋 育克 | 助教 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本内分泌学会内分泌代謝科専門医・指導医 日本内科学会認定医 臨床研修指導医 |
新村 京子 | 助教 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医 |
佐藤 展子 | 助教 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医 日本内科学会認定内科医 |
長池 弘江 | 助教 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医 日本内科学会認定内科医 |
高畑 洋 | 助教 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本内科学会認定内科医 |
大坂 直也 | 大学院生 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本内科学会認定内科医 |
藤川 大輝 | 大学院生 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本内科学会認定内科医 |
八島 広典 | 大学院生 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本内科学会認定内科医 |
竹鼻 伸晃 | 内科専攻医 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 |
|
陶山 友里恵 | 内科専攻医 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 |
|
小川 舞帆 | 大学院生 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 |
|
尾町 健将 | 大学院生 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 |
|
川上 来知 | 大学院生 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | |
井上 彩 | 内科専攻医 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | |
小林 亮平 | 助教 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | |
非常勤医師 | |||
平野 勉 | 客員教授 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医・評議員 日本内科学会認定内科医 日本糖尿病合併症学会評議員 日本動脈硬化学会専門医・評議員 日本肥満学会専門医・評議員 日本生活習慣病学会評議員 |
谷山 松雄 | 客員教授 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医・評議員 日本内分泌内分泌専門医・指導医 日本甲状腺学会専門医 |
島袋 充生 | 客員教授 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | |
林 俊行 | 兼任講師 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医・評議員 日本内科学会認定内科医 日本動脈硬化学会専門医 |
長村 杏奈 | 兼任講師 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医 日本糖尿病妊娠学会評議員 |
小橋 京子 | 兼任講師 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医 |
長嶋 理晴 | 兼任講師 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医 日本内科学会認定内科医 |
中西 賀子 | 兼任講師 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医 日本内科学会認定内科医 |
清水 弘行 | 兼任講師 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | |
伴 良行 | 兼任講師 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医
日本内科学会認定内科医
日本内分泌学会内分泌専門医・指導医 日本甲状腺学会専門医 |
柏崎 耕一 | 兼任講師 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医 日本内科学会認定内科医 |
笹森 寛人 | 兼任講師 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | |
小柳 博司 | 兼任講師 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | |
寺崎 紗矢香 | 特別研究生 | 糖尿病・代謝・内分泌領域 | 日本糖尿病学会糖尿病専門医 日本内科学会認定内科医 |
主任教授の紹介
昭和大学糖尿病・代謝・内分泌内科 山岸昌一
プロフィール
プロフィール
-
- 1963年 新潟県上越市生まれ
- 1989年 金沢大学医学部卒業
- 1993年 金沢大学大学院医学研究科博士過程修了
- 1995年10月より金沢大学医学部助手、その後講師を務め、1999年4月より米国ニューヨーク、アルバートアインシュタイン医科大学 内科研究員となる。2000年11月より久留米大学医学部内分泌代謝内科講師、その後同大学医学部内科学心臓・血管内科講師となり、2008年4月より、久留米大学医学部糖尿病性血管合併症病態・治療学講座准教授。
- 2008年10月、久留米大学医学部糖尿病性血管合併症病態・治療学講座教授。
- 2019年4月より、昭和大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌内科学部門教授
業績
Nature, JCI, JACC, ATVB, Diabetes, Diabetes Care, JASN, Kidney Int, Diabetologia, JCEM, JACC-Imaging, FASEB J, JBC, Am J Pathologyなど600編(総インパクトファクター1,900点以上、被引用論文回数2万6,000回)
受賞歴 -
- 2013年 ふくおか「臨床医学研究賞」
- 2012年 日本抗加齢医学会研究奨励賞
- 2009年 Best Reviewers of the Year 2008 of the Circulation Journal(第1位)
- 2007年 久留米大学心臓血管内科同門会賞
- 2005年 日本糖尿病学会リリー賞
- 2003年 American Heart Association(AHA) Basic Science Award(Angiogenesis and Stem Cell Award)【最優秀賞】
- 1997年 日本生化学学会北陸支部研究奨励賞
テレビ・ラジオ出演の紹介-
- 2006年8月7日−11日 TBSラジオ放送「明日も元気」
- 2006年9月9日 TBSテレビ放送「人間これでいいのだ」
- 2011年1月5日 NHK放送「ためしてガッテン」
- 2011年7月13日 NHK生放送「あさイチ」
- 2012年2月15日 NHK放送「ゆうどきネットワーク」
- 2012年5月9日 NHK BSプレミアム放送「アフロディーテの羅針盤(コンパス)」
- 2012年5月29日 テレビ朝日放送「たけしのみんなの家庭の医学」
- 2012年6月12日 NHK BSプレミアム放送「写ねーる」
- 2012年11月5日 TBSテレビ放送「私の何がいけないの?」
- 2012年11月7日 NHK生放送「あさイチ」
- 2013年5月31日 NHK四国放送「四国羅針盤」(アンチエイジングの秘訣を探る)
- 2013年9月23日 TBSテレビ放送「ひるおび」
- 2013年10月29日 TBSテレビ放送「ひるおび」
- 2015年5月24日 TBSテレビ放送「夢の扉+」(老化の原因を取り除け!)スリランカIndependent Television Networkでも放送。
- 2015年9月6日 BS朝日放送「たけしのみんなの家庭の医学」
- 2015年10月26日 NHK生放送「あさイチ」
- 2015年10月28日 フジテレビ生放送「ノンストップ」
- 2015年10月31日 TBSテレビ生放送「サタデープラス」
- 2015年12月26日 BS朝日放送「たけしのみんなの家庭の医学」
- 2016年1月10日 タイ国営Thai-PBS放送「Dohiru」(ドゥーハイル)
- 2016年5月31日 TBSテレビ生放送「ビビット」
- 2016年7月6日 NHK放送「ガッテン」
- 2016年8月30日 テレビ朝日放送「林修の今でしょ!講座」
- 2017年11月16日 テレビ東京「主治医が見つかる診療所」
- 2018年1月21日 日本テレビ「スクール革命」
- 2018年2月23日 BS-TBS「健康科学ミステリー!”若返り”医療最前線」
- 2018年6月28日 テレビ東京「主治医が見つかる診療所」
- 2018年9月2日 BS-TBS「健康科学ミステリー!”若返り”医療最前線」
- 2019年1月4日 テレビ朝日放送「グッド!モーニング」
- 2019年1月30日 NHK生放送「あさイチ」
- 2019年2月25日 テレビ朝日生放送「羽鳥慎一モーニングショー」
- 2019年9月5日 テレビ東京放送「主治医が見つかる診療所」
- 2020年2月12日 テレビ東京「ソクラテスのため息」
- 2020年4月9日 NHKBS「美と若さの新常識」
- 2020年7月2日 NHK生放送「あさイチ」
- 2020年9月12日 日本テレビ放送「メレンゲの気持ち」
書籍の紹介 -
- 「AGEs研究の最前線」 メディカルレビュー社
- 「ファーマナビゲーター 糖尿病編」 メディカルレビュー社
- 「酸化ストレスナビゲーター」 メディカルレビュー社
- 「エクセルナース 10 糖尿病編」 メディカルレビュー社
- 看護師国試解析問題集「ナーパス」 メディカルレビュー社
- 「生活習慣病診療に基づくCVD予防ハンドブック」 羊土社
- 「ナースのための読み解く薬理学」 メディカルレビュー社
- 「ナースが悩むQ&A」 メディカルレビュー社
- 「糖尿病と酸化ストレス」 メディカルレビュー社
- 「循環器医から寄せられる「糖尿病と血管合併症」に関する100の質問」 メディカルレビュー社
- 「老けたくなければファーストフードを食べるなーー老化物質AGEの正体」 PHP新書
- 「動脈硬化症の新しい診断・治療標的」 メディカルレビュー社
- 「老化物質AGEを減らして若返る!」 宝島社
- 「AGEsと老化-糖化制御からみたウェルエイジング-」 メディカルレビュー社
- 「老けない人は焼き餃子より水餃子を選ぶ」 主婦の友社
- 「早死にしない! 老ける食べ方 若返る食べ方」 永岡書店
- 「老けないカラダになる」50の知恵」 メディアソフト社
- 「老化物質AGEsワールドに迫る!アンチエイジングのための100の質問」 メディカルレビュー社
- 老化物質AGEためないレシピ:ウェルエイジングのすすめ パンローリング社
- 「exAGEハンドブック」 AGE研究協会
- 「Q&Aで知るAGEとその測定器のすべて」 AGE研究協会
- 「AGE攻略レシピ」 AGE研究協会
- 「パッと探せる!糖質量ハンドブック食材・料理 1420」 西東社
- Diabetes and Aging-related Complications Springer NY
- 「AGEデータブック 数字でわかる老けない食事」AGE研究協会
- 「老けないのはどっち?何を食べるか・どう食べるかで大差がつく」河出書房新社
- 「体は顔から朽ちていく 小さなところからわかるカラダの重大サイン」ダイアモンド社
- 「読むデトックスvol.2 糖化を防いで透析を防ぐ3つのアプローチ 基礎編」ダステック
- 「読むデトックスvol.3 糖化を防いで透析を防ぐ3つのアプローチ 実践編」ダステック