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脳腫瘍(良性)・頭蓋底腫瘍・眼窩内腫瘍

はじめに

脳腫瘍は1万人に一人程度発生するといわれています。その中で良性脳腫瘍(以降良性腫瘍)とは他の部位に転移することが無く、成長の速度が緩徐で、周囲の脳との境界がはっきりしている腫瘍のことです。脳腫瘍の40~45%程度を占め、代表的なものとして髄膜腫、神経鞘腫、下垂体腺腫などがあり、全摘出すれば治癒します。
症状としては、頭痛、めまい、てんかん、認知障害をはじめ、腫瘍の場所によって、さまざまな神経症状をきたします。最近はCT、MRIなどの検査機器の普及により偶然見つかるケースも増加しています。
良性腫瘍でも腫瘍が発生・進展する部位が、重要な血管や多くの脳神経が集まる、いわゆる頭蓋底といわれる頭蓋骨の底の部分の場合、これらの血管や神経を巻き込む頻度が高く予後が悪くなってしまう場合があります。

仰臥位・脳ベラなしで行う脳にやさしい脳腫瘍手術

執刀医の清水は、鍵穴手術や頭蓋底腫瘍などの繊細な顕微鏡手術を得意としており、
ドクターズガイド 時事通信出版局 http://dr-guide.net/www/
脳神経外科の名医リスト http://doctor-cancer.com/cranialnerves-dr.html
脳の病気ウェブ → 脳神経外科の名医
などでも紹介されています。



2010年フジテレビ「FNNスーパーニュース」、2011年TBS「ひるおび」の番組内で、手術をうけられ顔面けいれんから見事にカムバックされた女優さんの主治医(手術者)としても紹介され、2012年「たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学」にも出演しました。
1985年より顔面痙攣・三叉神経痛の根治術である微小血管減圧術を患者さんの負担の少ない仰臥位(仰向けの状態)で行う手術方法をとっており、論文としても発表し独特の方法として確立しました。この方法は仰臥位(仰向けの状態)という一番自然な体位で、さらに一般的に手術中に用いられる脳べラという脳をけん引する装置も用いない、より患者さんにやさしい手術です。実は三叉神経痛の患者さんの中には10人に一人の割合で脳腫瘍が隠れており、脳腫瘍の手術も数多く手掛けております。仰臥位・脳ベラなし手術方法は聴神経腫瘍の手術などにも採り入れており頭蓋底腫瘍といったデリケートな顕微鏡手術に定評があります。

髄膜腫


髄膜腫は脳を覆う硬膜より発生する良性腫瘍で、原発性脳腫瘍の20%程度を占めます。
発生部位によって、大脳穹窿部髄膜腫、傍矢状洞髄膜腫、蝶形骨縁髄膜腫、テント髄膜腫、大脳鎌髄膜腫、後頭蓋窩髄膜腫などがあります。
大脳穹窿部髄膜腫は脳の表面にできた髄膜腫です。症状が出にくく成長速度が遅いので、かなり大きくなってから発見されるケースも多くみられます。中には精神症状で認知症と診断され内服治療を続けられたていた患者さまの前頭葉に巨大髄膜腫が見つかることもあります。
また、できる部位によってさまざまな脳神経障害(視力障害、顔面の感覚障害、聴力障害、呑み込みがうまくできなくなるなどの症状)が出現します。蝶形骨縁髄膜腫や後頭蓋窩髄膜腫の中の小脳橋角部髄膜腫や斜台部髄膜腫など、いわゆる頭蓋底腫瘍(後述)とよばれるものが、これに当たります。
また、傍矢状洞髄膜腫も大きくなると矢状静脈洞という大事な静脈を巻き込むことが多く、摘出が困難になります。
基本的に髄膜腫の治療は手術による摘出です。大脳穹窿部髄膜腫は、小さいものであれば比較的容易に摘出できます。しかし、上述の頭蓋底髄膜腫や巨大な髄膜腫など、神経や血管が巻き込まれている場合は、頭蓋底外科手術に精通した経験豊富な術者による手術が必要です。また、重要な血管や神経を巻き込み全摘出できなかった場合や、稀ですが組織的に悪性で再発が予想される場合などは、術後にガンマナイフやサイバーナイフといった放射線治療を追加することもあります。
当院では、髄膜腫治療のエキスパートが、手術・放射線治療・経過観察など、さまざまな可能性を加味し、画一的な治療ではなく、一人一人の患者さまにあったテーラーメイドの治療を行っております。

神経鞘腫(聴神経鞘腫)


脳神経は神経鞘細胞で覆われています。電気コードに例えると中心部銅線が神経で外カバーのビニールが神経鞘です。神経鞘腫は言葉通り外側のビニールの部分が腫瘍になったもので、原発性脳腫瘍の10%程度を占め、聴神経(正確には前庭神経)、三叉神経などに主にできます。症状は由来する神経や隣接する神経の障害で、聴神経であれば聴力障害やふらつき。三叉神経であれば顔面の知覚障害や複視(眼球運動にかかわる神経の障害)などです。
基本的に治療は髄膜腫同様、手術による摘出です。腫瘍化した神経鞘の塊により中心部の神経は紙切れのように薄く押しつぶされ腫瘍の表面にはりついてます。薄くなった神経は非常に弱く手術操作によるダメージ(聴神経鞘腫の場合は聴力障害、三叉神経鞘腫の場合は顔面のしびれ)を受けやすくなっています。神経鞘腫の摘出は表面に薄くはりついた神経を含んだ層(カプセル)を残し、腫瘍だけをすべて摘出するという特有の摘出技術が必要です。特に聴神経鞘腫は小脳橋角部という神経や血管が密集した部分にできる腫瘍で、顔面神経がピッタリと腫瘍の表面に張りついていますので摘出時に神経を傷つけてしまうと術後に顔面麻痺をきたします。したがって神経鞘腫のなかでは聴神経鞘腫が技術的に一番高度な手術手技を必要とします。特に聴力残存例の手術に際しては細心の注意を払う必要があり、術前の聴力障害の程度によっては手術をせず経過観察をするケースもあります。また、隣接する神経との癒着が強く全摘出できなかった場合や、稀ですが組織的に悪性で再発が予想される場合などは髄膜腫同様、術後にガンマナイフやサイバーナイフといった放射線治療を追加することもあります。
当院ではエキスパートが、手術・放射線治療・経過観察など、さまざまな可能性を加味し、画一的な治療ではなく、一人一人の患者さまにあったテーラーメイドの治療を行っております。

下垂体腺腫


良性腫瘍のなかで、髄膜腫、神経鞘腫とならびよく見られる腫瘍です。トルコ鞍という頭蓋底の小さい器の中にある脳下垂体というホルモンを分泌する組織から発生します。
症状は視力・視野障害と、異常分泌されるホルモンによる症状です。
頭蓋底(海綿静脈洞)や頭蓋内に大きく進展するケースでは経蝶形骨洞法や開頭術で頭蓋底手術手技を駆使した顕微鏡での手術が必要となりますが、それ以外は当院では内視鏡による手術を行っております(後述)。

頭蓋底腫瘍

頭蓋底とは脳の入っている頭蓋骨(頭)の底の部分です。この部分にできた腫瘍のことを近年、このように呼ぶようになりました。髄膜腫(蝶形骨縁、小脳橋角部、斜台部など)や神経鞘腫(聴神経、三叉神経、頸静脈孔など)、巨大下垂体腺腫などの良性腫瘍や、耳鼻科・眼科領域の悪性腫瘍なども頭蓋底腫瘍にあたります。
頭蓋底の下には顔、つまり眼、耳、鼻、口(喉) などがあります。これらを支配する神経はすべて脳から出て頭蓋底の硬膜と骨を貫いて、それぞれの器官につながります。また頭蓋内主幹動脈はすべて頭蓋底でループを作り(Willis動脈輪)そこからすべての脳に血管を伸ばします。つまり頭蓋底腫瘍とは、たとえ良性腫瘍でも重要な血管や神経を巻き込む可能性が高く、手術によって嗅覚の障害、視力低下、眼の動きの異常、聴力障害、のみ込みや呂律障害などが出現するリスクが高い非常に治療困難な腫瘍グループのことを言うのです。かつてはno man's land(手の付けられない場所)と言われ敬遠されていましたが、近年の手術手技や手術機器の発達に伴い、より安全で確実な手術治療が可能となってきています。
当院では頭蓋底外科手技に精通した経験豊富な術者が、ナビゲーションやABR(聴性脳幹反応)などの各種電気生理モニターを駆使し、さらに極力脳べラで脳を圧迫せずにすむ患者さまの体位や頭の位置といった部分まで細心の注意をはらいながら安全で確実な手術を行います。
新たな神経症状を出さないことをモットーに、血管や脳神経、脳幹部との癒着が強い場合には意図的に皮一枚腫瘍を残し臨機応変にガンマナイフ、サイバーナイフ治療等の補助治療と組み合わせた集学的な治療を行います。
また、脳原発の腫瘍以外の耳鼻科や眼科領域の頭蓋底腫瘍に対しても、耳鼻科・眼科・形成外科と連携して治療を行います。


眼窩内腫瘍

 眼窩とは頭蓋骨の前面にある,眼球の入っているくぼみのことをさします。
眼窩内には神経、血管、脂肪、外分泌線など様々な組織が存在するために、稀ではありますがいろいろな種類の腫瘍が発生します。本邦の報告では、半数以上がリンパ増殖性疾患(中でも悪性リンパ腫が約15~30%)、海綿状血管腫、涙腺多形腺腫がそれぞれ約10%、その他は5%以下(皮様嚢腫、髄膜腫、膜様嚢胞癌など)との報告があります。
腫瘍の場所や大きさにより症状は異なりますが、視力障害をはじめ視野障害、眼球運動障害、眼球突出、眼痛などの多彩な症状が出現する可能性があります。手術を適切な時期に行わないとそれらの症状が残存することもあるため、なるべく早期の専門医による精密検査及び治療が必要です。
検査はCTやMRIが有用であり、正確な手術を行うために術前に詳細に検討を行います。また、術前と術後には眼科と連携して評価を行います。
提示した症例のように小さいですが眼窩尖部に発生する腫瘍は視神経を強く圧迫し症状をだします。これらの腫瘍も含め、経頭蓋到達法での摘出術がより安全で確実な方法と考え当施設では同法による手術を施行しております。提示症例は発症後時間が経過してから当施設にコンサルトされましたが、術後視力視野ともほぼ正常に回復され早期退院となりました。お困りの方は是非一度ご相談ください。






最後に

医学はscienceであるべきであり、近年EBMの概念とともにより普遍的なものになりつつあります。それに伴い「病気 を診て病人を診ない」風潮が、最新医療を提供すべき大学病院には、依然としてはびこっています。しかし、実際に患者さまに接し医学を実践する"医療"は、何時・誰が・何処で行っても常に同じ結果が出るはずのscienceではありません。"名医"という言葉の存在自体がそのことを証明しています。"医療"とは、人が人に提供するartです。患者さま一人一人が必要とする医療はみな異なります。最新医学に基づいた治療を、熟練した芸術的な匙加減でそれぞれの患者さまに実施してゆくことにより、はじめて理想的な医療が完成します。われわれは、最新医学に精通したscientistsであると同時に、個々の病人の訴え、苦しみ、病状を十分理解し、一人一人に理想の医療を提供できるartistsでありたいと思っております。

参考文献
山口滋紀 他, 神経治療 27; 107-132,2010
Shimizu K et al, Lateral basal approach with a supine, no-retractor method for microvascular decompression for hemifacial spasm. Acta Neurochir,157(5); 803-806. DOI 10.1007/s00701-015-2393-9, 2015
Shimizu K et al. Supine no-retractor method in microvascular decompression for hemifacial spasm: Results of 100 consecutive operations. J Neurol Surg B Skull Base, 76(3); 202-207. DOI 10. 1055/s-0034-1396660, 2015
Shimizu K et al. Lateral basal space and interlaminar fatty compartment of the deep cervival fascia in the posterolateral craniocervical junction - An anatomical basis for the surgery in the lateral skull base-. Int J Neurol Neurother, 3: 038(3). ISSN:2378-3001, 2016

担当医

清水 克悦 准教授
顔面痙攣・三叉神経痛や、頭蓋底腫瘍(聴神経腫瘍・下垂体腫瘍・髄膜腫等)の顕微鏡手術を得意としております。

・外来日は木曜日です。お気軽にご相談ください。
・手術、学会等で不在となることもあります。お電話でご確認の上お越しくださるとありがたいです。 医療連携室:03-3784-8400

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