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生命倫理憲章

前文

本学は、「至誠一貫」の建学の精神をもって、医療及び医療のための研究とその応用、教育を通じて社会に貢献してきた。
急速に進展している医療の将来を見据え、医療に対する社会からの多様な要請に応えて、今後とも人々と社会の福祉に寄与するため、本学全職員がつねに自覚し遵守すべき規範として、ここに生命倫理憲章(以下「憲章」という)を制定する。
本学の全職員には、生命への深い畏敬の念を抱き、つねに高い倫理的意識をもって医療と研究・教育に携わり、それに関連する業務を遂行し、その社会的使命と責任を果たすことが求められている。
ここに謳う生命倫理は、医療においてそれに携わる者が守るべき倫理規範と、医療のための研究及びその応用において学問的良心に従いそれを行う研究者が守るべき倫理規範を呈示するものである。
本学はこれに基づき、よりよい医療のための基盤整備を行い、生命倫理教育及び啓発活動を推進する。

第1章 基本原則

人間の尊厳の尊重

第1条
本学は、人間の尊厳の尊重を第一の基本原則として、医療及び医療のための研究とその応用、教育を行う。
一人ひとりの人間のかけがえのない生と死への深い共感と理解をもって医療を行うものであるとともに、生命の神秘と崇高さへの畏敬の念をもち、とりわけ生命体である人の身体が個々人の独自性をもつと同時に人類の遺産たるべき意味をもつことを真摯に受けとめ、医療のための研究及びその応用を行うものである。

個人の尊厳の尊重

第2条
一人ひとりの人間はその尊厳を尊重されなければならない。
そのためには基本的人権が擁護されなければならず、とりわけ医療においては、良質な医療を受ける権利、個人の自律を尊重される権利、プライバシーを保護される権利が保障されなければならない。

善行の原則

第3条
医療に携わる者は、医療を受ける個人に危害を加えてはならないことはもとより、その個人の最善の利益のために医療を行わなければならない。
医療のための研究とその応用を遂行する者は、その研究と応用によって個人及びそのグループ、ひいては社会及び人類にもたらされる利益を将来にわたり最大化しなければならない。

正義の原則

第4条
医療を受ける権利はすべての人に保障されるものであるから、医療を受ける個人は平等に扱われなければならず、医療資源は公正かつ公平に配分されなければならない。
また医療のための研究とその応用についても、それによってもたらされる利益が社会的に公正かつ公平に配分されなければならず、不適切な格差や不当な差別を生じさせるものであってはならない。

第2章 基本原則の適用

人間の尊厳に関する不断の研究と討議

第5条
人間の尊厳の尊重は憲章の根本精神であるが、その内容及び具体的適用については未解決な困難な問題を含むものであるので、どのような行為が人間の尊厳の尊重に適ったものであるかを、不断の研究と討議によって明らかにし、これを医療及び医療のための研究とその応用、そして教育に反映させていかなければならない。

個人の自律の尊重とその支援

第6条
良質な医療を受ける権利を保障し、個人の尊厳を尊重するためには、個人の自律が尊重されなければならず、具体的にはインフォームド・コンセントの原則が守られねばならない。
さらに、個人の自由意思による自己決定を支えるための専門的なサポートシステム及びケアシステムが整備されていなければならない。
医療のための研究とその応用への協力や医療のための教育への協力を要請する場合も同様である。

自律が困難な人の権利擁護

第7条
自律が困難であると考えられる人への医療行為については、その人の利益を保護するのに最も適した人からインフォームド・コンセントを得なければならない。
また研究とのその応用に際しては、それらの人々からの協力がなければ成しえず、それらの人々が属するグループの利益となるものに関してのみ、協力を要請することができる。
その場合にも、その人の利益を保護する者からインフォームド・コンセントを得るなど、権利擁護に努めなければならない。

プライバシーの尊重と個人情報の保護

第8条
個人のプライバシーの権利を尊重するために、みだりにプライバシーに踏み込まないことはもとより、個人の情報の収集に際しては本人へその目的を説明し本人から同意を得なければならない。
提供された臨床情報や検体に含まれる個人情報は、その利用目的のためにのみ使用し、慎重かつ適正に取り扱い保護しなければならない。
本学は個人情報保護のための適切なシステムを構築し、つねにその改善に努めなければならない。

無危害原則

第9条
医療を受ける個人に危害を加えてはならない。
この無危害原則は、医療行為が不可避的に心身への侵襲性を伴うものである以上、堅く守られなければならない。
医療従事者は、医療を受ける個人にとって医療行為が危害でもありうることを認識し、可能な限り危害を最小限にくいとめなければならず、危害を未然に防止しなければならない。
本学はそのための防止策と安全対策を講じなければならない。
もし万が一にも医療事故がおきた場合には、危害を最小限にくいとめるべく、第一に誠意をもって被害者の救済にあたるとともに、事故発生の原因を究明し、今後の発生予防に努めなければならない。

善行と誠実

第10条
善行の原則に則り、医療を受ける個人にその個人が望む最善の利益を提供するために、医療に携わる者はつねに自己研鑚を積み、専門的知識と技能を高め、誠実な態度を修得しなければならない。
本学は、そのための教育研究システムを整備しつねに改善するとともに、積極的にチーム医療を推進する。
また、最善の医療を提供するために施設等を整備し充実するよう努める。

研究における利益と危害の予測と評価

第11条
医療のための研究とその応用は、その対象となる疾患を有する個人及びそのグループ、ひいては社会及び人類に利益をもたらすことを目的とする。
しかしながら、そのような研究とその応用は同時に大きな危険や負担を伴う可能性があるため、予測される利益は、予測される危害を考慮して慎重に評価されなければならない。
すなわち、協力を要請する個人への不利益のほか、未来の世代への影響、環境への影響等が評価されねばならない。
加えて、実験動物の愛護も配慮されなければならない。

科学的・社会的利益に対する個人の福利の優位

第12条
たとえ人類に多大な利益をもたらすと予想される研究やその応用であっても、個人の尊厳の尊重及び個人の福利への配慮が先ず第一に優先されるのでなければならない。

医療を適切に評価できる人材の育成

第13条
医療及び医療のための研究とその応用に関する評価は、可能な限り多角的に広い視野から長期的展望にたって行なわれる必要がある。
本学は、医療の科学的正当性・倫理的妥当性を客観的かつ厳正に評価しうる人材育成に力を注ぐ。

公正な手続きと不公正の是正

第14条
本学は、正義の原則をつねに念頭におき、第三者からの公的な評価にたえうる透明かつ公正な手続きを経て医療及び医療のための研究とその応用を行う。
また病気や障害をもつことにより社会的に弱い立場におかれている人びとの福祉を考え、社会的差別の排除と不公平の是正に努力する。

学内外の共同研究と社会的責務

第15条
本学は、よりよい医療の発展に寄与するため、他大学や他施設との共同研究を積極的に推進する。
本学は、本学で行われた医療及び医療のための研究とその応用についての倫理的配慮と、そこから得られた科学的成果についての情報を集約し、それをできるかぎり公開することにより、共同研究に資するとともに、社会に対する説明責任を果たす。

各種宣言・ガイドライン等との関係

第16条
本学は、我が国の法令を遵守し、世界医師会のヘルシンキ宣言、リスボン宣言、国際看護師協会の倫理綱領をはじめとする各種宣言の基本理念を継承する。
具体的な課題については、行政や関連学会等によって作成された最新のガイドライン(指針)に準拠して検討し、誠実に対処する。

医の倫理委員会の設置

第17条
学長、各学部長及び各病院長は、本学で行われる医療及び医療のための研究とその応用がこの憲章の精神に基づき倫理原則に則って行われることを審査するために、大学、各学部及び各病院内に医の倫理委員会(倫理審査委員会)を設置しなければならない。

附則

  1. この憲章は、平成17年10月11日から施行する。
  2. この憲章の改正は、昭和大学学部長会の議を経て理事会の承認を要するものとする。

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