脳性まひの尖足に対するボツリヌス治療(リハビリテーション科)

脳性まひの尖足に対するボツリヌス治療(リハビリテーション科)

ボツリヌス治療は痙縮の治療であり、脳性まひの尖足に対して施行されます。海外では第1選択として広く普及しています。一方我が国では十分に普及しているとはいえず、治療の適応や効果に関しても検証がされているとはいえません。
今回は、当院で行っている、脳性まひの歩行能力を改善させることを目的とした治療戦略を紹介します。

脳性まひの尖足の治療のためには、筋骨格系の管理のアルゴリズムが参考になります。
ボツリヌス治療の効果は4歳がピークです。筋肉の短縮に対する治療が必要です。
7歳以降は手術を考慮します。


ボツリヌス治療の新しい知見:ボツリヌス治療は脳性まひ児の筋肉の短縮を改善することが知られてきました。

海外で行われている方法を参考に、ボツリヌス治療を再検討しました。筋の短縮を改善するためにボツリヌス治療後に固定(シリアルキャスト、または夜間シーネ固定)を行います。 歩行能力を改善するために、治療する筋肉を検討します。このお子さんは両ハムストリングスに注入することで膝の屈曲(かがみ歩行)が改善しました。
画像①GNFCSクラス2
尖足 つま先歩行
かがみ歩行
画像② 腓腹筋に注入 家族が介助
  治療直後に「柔らかくなった」
画像③ハムストリングスに注入
両側に注入
画像④シリアルキャスト
足関節-5°(膝屈曲)
1709019638406治療後の歩行練習
かがみ歩行が改善
家庭と学校で歩行練習
                          
この方法は、藤が丘リハビリテーション病院、昭和医科大学病院附属東病院などで取り入れています。
(2024年2月掲載)