当院で行われている病理解剖について(臨床病理診断科)

当院で行われている病理解剖について(臨床病理診断科)

解剖の種類

一口に「解剖」といっても目的ごとにいくつかの種類があることをご存知でしょうか?
刑事ドラマなどで解剖のシーンが時折ありますが、犯罪捜査を目的として行われる解剖は司法解剖です。
医学部学生や医師の勉強や研究のために行われるものは系統解剖・臨床解剖と呼ばれ、篤志家の方々が生前のご意思によってご献体を提供して下さっております。
犯罪が関与しない異状死体の解剖は行政解剖といいます。
病理解剖は病気で亡くなった方の死因や病勢、治療効果などを調べるために行っています。(表1)

(表1)

対象目的主な執刀医
司法解剖異状死犯罪捜査・犯罪性の評価法医学者
行政解剖異状死死因究明(災害・公衆衛生(感染症や食中毒など))監察医
病理解剖病死死因究明・病勢判断・治療効果判定など病理医
系統解剖ご献体正常構造の理解医学生

病理解剖の目的と意義

病理解剖は「最後の医療」と評されることがありますが、残念ながら亡くなられた方ご本人には直接の利益はありません。しかしながら、病理解剖は医療の質を保つためのいわば自己点検機能としての役割があり、生前の診断や治療が妥当であったのか評価することができます。亡くなった原因やご病気の詳細を知ることでご遺族の納得に繋がることも期待されます。
詳しくお知りになりたい方は日本病理学会の「病理解剖について」(https://pathology.or.jp/ippan/byourikaibou.html) もぜひご一読ください。

                          
(2024年3月掲載)