作業療法室

手工芸・パソコン・軽スポーツ・音楽などのプログラムを通じて症状の安定を図り、入院初期から退院後の通所まで、継続したリハビリテーションを行い、段階的なステップアップを目指します。

作業療法

一般社団法人日本作業療法士協会の定義では、
作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。
とされています。

作業療法士は、作業をコーディネートする専門家として、
  • 手段としての作業
  • 目的としての作業
の双方を活用し、対象となる人々が、病によって一時的に失われた社会的役割や日常生活を取り戻し、再び社会につながることが出来るように関わりを持っています。
当院では、大きく分けて4つの分野で作業療法が行われています。
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入院作業療法
当院は精神科病床6病棟を有し、全病棟の患者さん対象に作業療法を行っています。
主に病棟作業療法と、作業療法室を利用したセンターOTがあります。患者さんに合わせて個別あるいは集団を利用しながらの支援を行っています。
また回復段階に合わせて作業療法士と相談をしながら目標を決めて支援を行っています。
急性期では病的状態からの早期離脱、二次的障害を防ぎ、現実への移行の準備を促しています。安心・安全の保障、休息への援助、基本的生活リズムの回復、欲求充足と発散などを目的として開始しています。
また回復期では退院後の地域生活に向けて、生活の質を維持・向上できるように生活管理技能や対人交流技能などへの支援も行っています。

病棟プログラム一例

病棟作業療法では下記に記載したプログラムを一例として、支援を行っています。
机上作業
内容:ぬり絵、計算、数独、クロスワード、ペン習字、間違い探し、音楽鑑賞、パソコンなどからご自身の興味や目標に合わせた活動を選択して取り組んで頂きます。
映画鑑賞
内容:洋画、邦画新旧取り混ぜた映画を上映しています。初めて見る映画により興味・関心の幅をひろげます。
体操
内容:椅子ヨガ、筋トレ、ストレッチなどを行っています。入院中、身体を動かす機会が少なくなるため、筋力維持、リラックス、転倒防止などを目的として行っています。
カラオケ
内容:好きな曲を選曲し、歌って頂きます。発散・楽しむことを目的とした、自己表現の場として利用することが可能です。また他の方と一緒に同じ場を共有しながら参加することで、社会性の獲得などにもつなげています。

センターOT

現在、入院作業療法はコロナウイルスの影響もあり、プログラム内容、日程等で大幅な変更を行っております。プログラム内容、日程等につきましては、コロナウイルス終息後に記載させて頂きます。

作業療法を利用された方の一例

当院作業療法を利用された方の一例になります。事例一覧をご覧ください。
外来作業療法
当院退院後、生活が安定するまで継続的な治療・サポートが必要な方や、外来通院されており、生活上の不安・課題がある方を対象としております。
余暇生活の支援、デイケア、作業所通所、就学、就労のためのステップとしてご利用いただけます。

活動内容と利用時間

外来作業療法の活動内容と利用時間についてはこちらをご覧ください。

利用までの流れ

利用までの流れ
① 主治医への相談
診察時に、参加の希望を主治医に伝えて頂きます。
見学をしてから参加の有無を決めたい方はOT見学日を設定して頂きます。      
OT参加を決められた方は、主治医からの処方箋が必要となります。
② OT見学
スタッフがOT室内のご案内やプログラムのご説明をさせて頂きます。
実際に参加を悩まれている場合は主治医にご相談の上、プログラム見学参加も可能です。
③ 面談
担当作業療法士が1名つき、詳しい利用の説明や利用日時の設定を行います。
説明を受けて承諾された方は同意書の方に記入をお願いしております。
④ OT開始
利用される日時にOT室に来室して頂き、開始となります。
※現在コロナウイルスの影響で参加者の制限を行っております。
心理教育
当院では精神科リハビリテーションの一環として、入院治療、外来治療それぞれのニーズに沿った心理教育プログラムを多職種(医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床心理士、精神保健福祉士、デイケアスタッフ、ピアスタッフなど)と協力して行っています。作業療法の扱いとして医師の指示により参加することができます。

入院プログラム

「地域生活心理教育」
統合失調症の方を対象に「再発のない安定した地域生活」を目指す週1回、全8回のプログラムです。専用のワークブックを用いて前半は各職種の講義、後半はグループミーティングでの意見交換を行います。自らの病気の症状や、服薬の大切さを学ぶだけでなく、退院後に病気とうまくつきあいながらどう生活していくかに主眼を置いた内容となっています。
「併存性障害治療プログラム」
精神障害とアルコール・薬物の使用障害という2つの問題を併せ持つ(併存性障害)方は、再発しないために両方の障害の治療が大切です。週1回、全8回のプログラムです。専用のワークブックを用いて学習し、他メンバーの意見を聞きながら自身のことを振り返ります。依存症のみの方やギャンブル、買い物など行動の依存の方も参加しています。地域で生活している回復支援施設のメンバーの話を聞く機会もあります。

外来プログラム

「アディクション外来プログラム」毎週月曜 1クール24回
「ギャンブル障害治療プログラム」第2第4金曜 
当院に外来通院しており、アルコール、薬物、ギャンブルなど様々な依存対象がある方のための、専用テキストを用いたプログラムです。入院プログラムに参加していて、退院後引き続き外来通院する方も参加しています。

外来プログラムについてはご案内をご覧ください。
認知症
認知症病棟における作業療法とは
“健康と元気を取り戻すための作業を、バランスよく習慣化していくリハビリです”

作業療法の目的を“健康と元気を取り戻すこと”とし、そのために役に立つ作業を週間プログラムの形で行っていくことで、習慣化を図っていきます。
入院中の患者さんにとって、日々行う作業全般のバランスが保たれるように、また入院中少なくなってしまう自己選択・自己決定の機会となるように、作業療法が機能することを目指しています。

週間プログラム内容は、以下の3つの側面が実現されるよう、組み立てられています。
1.健康回復プログラム 
すべての生活の土台となる、健康状態を良くしていく作業を行います。各種体操を中心に週2回の運動機会を設けています。音楽療法や回想法により、落ち着いて過ごせる時間が持てるようサポートしています。
2 .機能改善プログラム
デュアルタスクトレーニング、有酸素運動、アロマセラピー、内臓機能へのアプローチを行い、認知機能・認知症症状の改善に取り組んでいます。
3 .役割発揮プログラム
健康を維持すること、出来る仕事を行うこと、余暇を楽しむことなど、高齢者の役割に沿った作業を提供しています。その方の経験や能力、今後予想されるライフスタイルに合わせ、個別作業を展開しています。
病棟ホール活動場所である病棟ホール
天井が高く、開放感があります
TV活動の軸となる大画面TV
映画、音楽、お知らせ等に活用
やることトレーやることトレー
机上作業課題と道具一式
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