カリキュラム・シラバス

カリキュラム

年次に応じて基礎と専門をバランスよく段階的に学べるカリキュラム

「医学とは何か」に始まり、専門科目、実習および病院実習に至るまで、基礎から臨床への一貫性のある科目構成で、医学生として求められる知識・技術・こころを身に付けていきます。
優れた教授陣と恵まれた教育・研究施設に加え、他の学部と連携した科目・実習など、本学ならではの総合的なカリキュラムです。
2023年度昭和大学履修系統図(平成31年度までの入学者)
2023年度昭和大学履修系統図(令和2、3年度の入学者)
2023年度昭和大学履修系統図(令和4年度の入学者)



カリキュラムの特徴

1 2020年からの新カリキュラムの概要

昭和大学では、「日本一」のカリキュラムを提供しています

  1. 1年生から、医師として必要な臨床技能(血圧測定、胸部、腹部の診察など)を修得します。
  2. 基礎医学は、臨床医学に則して学びます。
  3. 知識はオンデマンド講義で自学自修し、大学ではディスカッションや演習が中心です。
  4. 2年生前期に、看護実習、多職種実習(歯科医、薬剤師、臨床検査技師など)を附属病院で体験します。
  5. 2年生後期から4年生前期までの約2年間、毎週1日、附属病院で臨床実習をします。
  6. 4年生後期から卒業まで約2年間、毎日、スチューデント・ドクターとして、附属病院での診療に参加します。
  7. 「行動医学・プロフェッショナリズム」教育を、6年間通じて実施します。
  8. 診療で必要な英語を学び、海外留学を奨励しています。
  9. 歯学部、薬学部、保健医療学部の学生との、学部連携教育が盛んです。
  10. 医師国家試験では毎年、100%近い高い合格率を誇ります。
1.2020年からの新カリキュラムの概要画像

2 基礎・臨床統合教育

2年次から4年次前期にかけては、人体の成り立ちと機能等の医学の基礎(「基礎医学」)と、からだが病気に侵されたときのその症候と徴候、病因・病態および予後・診断・治療を学ぶ「臨床医学」を統合して学び(「基礎・臨床統合教育」)、人間の病気と障害への理解を深めます。
この「基礎・臨床統合教育」では基本的な知識はオンラインで学修し、大学では豊富な症例をベースに、アクティブ・ラーニング、シミュレーション教育をふんだんに取り入れ、能動的および共同的に学びます。ここでは基礎医学者、内科および外科の臨床医が力を合わせて学生の学びをサポートします。
アクティブ・ラーニング例として、グループで一つのテーマについて深く掘り下げ、文献等を検索し、それをわかりやすくまとめて、文書として記述する「ジャーナルクリエーション」や、ある病気について空想の患者さん(症例)のシナリオ(患者さんの背景や症状・病気の経過、必要な検査とその結果、診断の決め手、治療法等)をグループで作成する「シナリオクリエーション」があります。

2-1基礎・臨床統合教育ある1週間
2-2基礎・臨床統合教育(シミュレーション・手技演習)シミュレーション・手技演習(呼吸器・アレルギーブロック)
2-3基礎・臨床統合教育(シミュレーション・手技演習)シミュレーション・手技演習(呼吸器・アレルギーブロック)
2-4基礎・臨床統合教育(シミュレーション・手技演習)シミュレーション・手技演習(呼吸器・アレルギーブロック)
2-5ジャーナル冊子ジャーナルクリエーションで作成した冊子
2-6ジャーナル冊子ジャーナルクリエーションで作成した冊子

3 シミュレーション教育

医療におけるシミュレーション教育は、患者安全には欠かせないものです。穿刺、切開などの侵襲の高い手技の修得だけではなく、基本的な診察に必要な知識、技術、態度を修得するために、シナリオを用いたシミュレーションは有効です。2021年に教育研修棟2階にシミュレーションセンターが開設され、新カリキュラムのアクティブラーニングや研修医教育、病院職員教育に利用されています。シミュレーション教育のポイントは、「(心理的に)安全な環境で、目標を達成するまで何度でも練習できること」です。相手がシミュレータやバーチャルリアリティの患者さんであっても、患者さんに接していることを重視して、態度教育にもつながっています。

3-1シミュレーション教育
3-2シミュレーション教育
3-3シミュレーション教育

4 行動医学・プロフェッショナリズム

1年生から6年生まで、一貫して行動医学・プロフェッショナリズム教育を実践しています。1年生は、「プロフェッショナルな医師とは」を問う講義を展開してます。特に自分のケア(セルフケア、マインドフルネス)についても学びます。2年生前期では、死から生といのちを考える講義を通して、「自分が人生の意味や役割の問いと共に、何故、医師になるのか」を考えていきます。2年生後期から4年生前期は、基礎・臨床統合教育の専門科目に合わせて学んでいきます。例えば、呼吸器では、末期がん患者の呼吸困難が軽減せず鎮静を望んだ時の倫理的な葛藤や、COPD患者さんの語り。循環器では、心臓移植を経験した患者と主治医の語り、感染症ではHIV陽性者とサポートするNPOの語りなどです。診療参加型臨床実習が始まる4年生では、白衣授与式前に自らの宣誓文を作成します。5年生、6年生では臨床実習の振り返りを通して、プロフェッショナリズムと共に、それに相反するアンプロフェッショナルな行為について学びます。

5 国際化教育と医学英語

富士吉田教育部の1 年次から卒業時までシームレスな医学英語教育を行い、さらに卒後の国際学会での研究発表や臨床研修・留学まで見据えた国際化教育を展開しています。特に従来までの 患者や上級医師との communication や英語論文の読み書きに関する international medical standard だけでなく、国際的視点で医学会を俯瞰し将来自身の意見を発信する基盤を作る globalization 教育にも力を入れて講義や演習を構成しています。
学生はこの一連の国際化教育により国際的視野をもって海外の医療者と積極的に交流する意欲を有し、将来、臨床においても海外で活躍し、また、研究においても自身の見出した新しい医学情報を世界に発信する意欲と能力を身に着けてくれることを期待しています。
5-1国際化教育ウイーン3名,女性
5-2国際化教育ウイーン4名,男性2

6 共用試験(OSCE、CBT、PCC-OSCE)

1年次からの臨床実習、また2年次からの基礎臨床統合教育を経て、4年次後期からは診療参加型臨床実習が始まります。この診療参加型臨床実習には「Student Doctor」の資格を得た者が参加でき、その認定試験が医療系大学間共用試験実施評価機構の指定する医学的知識を問うCBTと実技試験であるOSCEです。ここで学生達は1年次から4年次までの学びの成果を発揮します。
また診療参加型臨床実習の後には、実技の卒業試験であるPost-CC OSCE(診療参加型臨床実習後OSCE)が実施されます。ここでは共用試験機構が指定する一般課題の他に、昭和大学独自課題が出題され、ある特定の臨床場面における問題解決能力が問われ、卒業後の臨床研修で「医師」として臨床現場で働く能力が備わっているか評価します。

6共用試験

7-1 臨床実習Ⅰ(診療の基本)

「医学は患者さんから現場で学ぶ」を実現するために、1年生から医療面接、身体診察(バイタルサインの測定、胸部・腹部の診察)を身に付けます。医療面接や身体診察は、学生同士、教員に対して、模擬患者さんに対して実施し、学んでいきます。最終的に、これまでの旧カリキュラムでは4年生に実施していたOSCE(Objective Structured Clinical Examination: 客観的臨床能力試験)を1年生で実施しています。OSCEでは、医療面接と身体診察を模擬患者さんに対して実施しています。模擬患者さんからは「1年生なのに4年生顔負けの面接・診察の対応が次々と続き驚きました。」と感想を頂いています。
7-1-1臨床実習Ⅰ
7-1-2臨床実習Ⅰ

7-2 臨床実習Ⅱ(看護実習)

臨床実習Ⅱでは、2年生の前期に看護実習として実施しています。看護師の業務見学・体験実習を通して、医療従事者の使命や患者との信頼関係を体得することを学修成果としています。実習では複数の病院の部署に赴き、担当看護師について看護師の業務を見学します。学生は看護師の役割について学ぶだけでなく、医療従事者に望ましい態度・服装や、それらに適った態度を示すこと、そして患者を中心としたチーム医療の重要性についても学びます。実習の後は振り返り報告会を行い、病院での実習内容や実習で達成・成長できたこと、今後改善したいこと、実習で得たことをどのように活かすかについて他の学生と共有し、理解を深める機会を設けています。

7-3 臨床実習Ⅲ(多職種実習)

臨床実習Ⅲでは、2年生の前期に多職種体験実習として実施しています。医療に関わる様々な職種(歯科医師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、臨床検査技師など)の専門職能について学び、各職能の多職種連携協働における役割や相互の関わりについて理解することを目的としています。事前学習として、見学する各科の概要を説明した資料を確認し、自分が質問したいことを事前に明らかにした上で実習に臨みます。実習では歯科医療見学、薬剤師業務見学、リハビリテーション見学、臨床検査見学の4か所をローテーションし、各業務の流れや役割について学びます。実習後は振り返り報告会を行い、見学内容や感想について他の学生と共有する機会を設けています。臨床実習Ⅱと共に、学生にとって今後のチーム医療や多職種連携を学ぶ上で欠かせない科目となっています。

7-4 臨床実習Ⅳ(全診療科実習)

臨床実習Ⅳでは、いよいよ臨床現場で医師のもとで学びます。2年次後期から4年次前期までの約2年間かけて昭和大学付属7病院の約120診療科で実習します。この臨床実習Ⅳは学生1人に対して指導教員が1人のマンツーマン形式の実習です。実習前半の2年後期~3年前期の時期には、主に各診療科の医師がどのような態度で診療に望んでいるかを学びます。ここでは外来や病棟などの診療場面だけでなく医局カンファレンスや勉強会、論文執筆など、医師が診療以外でどのような仕事をしているのかをも学びます。そして、実習の後半時期である3年後期~4年前期には、各診療科で主に診療している疾患の病態、検査、治療、さらに疾患を有する患者さんの生活や思いについて学びます。ここでは、併行して実施される基礎臨床統合教育での教室の学びを現場での実習を通して深めていきます。
7-4-1臨床実習Ⅳ
7-4-2臨床実習Ⅳ

7-5 臨床実習Ⅴ(診療参加型実習)

臨床実習Ⅴは、4年後期から6年前期までの診療参加型臨床実習です。ここでは、「Student Doctor」として医療チームの一員として全ての診療に携わります。担当する患者の診察、検査、処置、また治療計画の立案、病状説明などを指導医の指導のもとで実施します。また、教授回診や症例検討会などでのプレゼンテーションや、貴重な症例の学術誌への報告や学会発表なども行います。診療参加型臨床実習で経験した手技や症例は電子ポートフォリオにまとめられ、将来の専門医取得に向けた貴重な資料となります。


TOPICS

体験型臨床医学カリキュラムで、“即戦力” の医師を養成

動画などのオンデマンド型教材で事前に自主学修のうえ、教室や研修棟の授業に臨み、シミュレータ相手に腕試し。ICT導入、反転教育という最新の教育手法で、呼吸器・アレルギー内科の領域で医師が経験すべき診療技能や問題解決能力を2年次の秋にマスターすることを目標に、楽しく臨床医学を学べる環境を構築しています。
M_鈴木准教授1医学部内科学講座 呼吸器アレルギー内科学部門 准教授 鈴木慎太郎M_鈴木准教授2

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