緒方浩顕教授のグループが実施した大規模臨床試験の成果が世界4大医学雑誌である『JAMA』に掲載

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緒方浩顕教授(医学部医学教育学講座/横浜市北部病院医学教育支援室)、秋澤忠男客員教授(医学部内科学講座腎臓内科学部門)らが実施した大規模ランダム化比較臨床試験結果が米国医師会雑誌『The Journal of the American Medical Association (JAMA)』(2020年のインパクトファクター 56.3 (JCR調べ))に掲載されました。この臨床試験では、高リン酸血症を呈する血液透析患者において、カルシウム含有リン吸着薬とカルシウム非含有リン吸着薬の心血管疾患リスクに与える影響を検証し、両者には差がないことを明らかにしました。

緒方浩顕教授のコメント

慢性腎不全では、食事中に多く含まれるリン酸が尿中へ十分排泄できず体内に貯留し(高リン酸血症)、様々な合併症の原因となります。このために、食事中のリン酸を吸収するリン吸着薬が必要となりますが、長い間、リン吸着薬としてカルシウム含有製剤が使用されてきました。カルシウム含有製剤は、安価で消化器症状も少ないですが、一方カルシウムが含有されているために血管や心臓の石灰化を促進させて、心血管疾患を増加させる懸念が指摘されてきました。近年、カルシウム非含有リン吸着薬が登場し、従来のカルシウム含有製剤より心血管リスクを軽減させる可能性が示唆され、大きな争点となっていました。本研究では、274施設から参加した2,374名の血液透析患者をランダムに炭酸カルシウム治療群と炭酸ランタン治療群に割付、3年以上に渡って心血管疾患の新規発症を検討し、両治療群に有意な差がないことを明らかにしました。リン吸着薬を比較検証した大規模臨床試験は初めてであり、JAMAにアクセプト、掲載して頂きました。
本研究は日本を代表する研究者の方々にご指導を頂き、日本全国274施設で実施しました。なかでも昭和大学各附属病院や関連施設の医師、メディカルスタッフの方々には多大なるご支援を頂き、完遂することが出来ました。心より御礼を申し上げます。この度、我々の研究論文が『The New Journal of Medicine』や『The Lancet』に並ぶ『JAMA』に掲載されたことは大変光栄なことです。本研究の成果が、今後の腎不全治療の一助になれば幸いです。


緒方先生_1200×936緒方浩顕教授

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