薬学研究科の丸山真一さんが日本薬学会第144年会で学生優秀発表賞を受賞

受賞・表彰#薬学研究科

薬学研究科4年(当時)の丸山真一さん(生体分析化学分野、済生会横浜市東部病院薬剤部)が、日本薬学会第144年会(3月28日~31日:パシフィコ横浜)において、演題名『進行性腎細胞癌患者におけるカボザンチニブの血中濃度モニタリングの有用性』で発表し、学生優秀発表賞(口頭発表の部)を受賞しました。

丸山真一さんのコメント

この度は、学生優秀発表賞(口頭発表の部)という素晴らしい賞を頂き、大変光栄に存じます。
経口分子標的薬であるカボザンチニブは、腎細胞癌に対する有効な治療薬として臨床で使用されていますが、副作用が多く、患者さんが服用を継続するためには、副作用のコントロールが非常に重要となります。経口分子標的薬の中には、スニチニブのように血中濃度と治療効果や副作用の相関が明らかになり、TDM検査が診療報酬の対象になっている薬物もありますが、現時点でカボザンチニブはデータが十分に集まっていません。
本研究では、高速液体クロマトグラフ(HPLC-UV)法を用いて、血漿カボザンチニブ濃度を測定したところ、血漿中濃度が高い群は、低い群に比べて高い治療効果が得られる一方で、重篤度の高い味覚異常、倦怠感、食欲不振を引き起こす可能性があることを明らかにしました。この結果から、カボザンチニブのTDMは、腎細胞癌患者に対する治療効果の向上や重篤な有害事象の回避に有用となる可能性を提示しました。
本研究の遂行にあたり、日頃よりご指導ご鞭撻を賜りました加藤大教授をはじめ、生体分析化学部門の先生方にこの場をお借りして御礼申し上げます。

※TDM(Therapeutic Drug Monitoring)
血中濃度や検査値など、治療効果や副作用に関する様々な因子をモニタリングしながらそれぞれの患者とその状態に合わせた投与設計を行うこと。
丸山さんサムネ加藤大教授(薬学部基礎薬学講座生体分析化学部門)、丸山真一さん