山口梢助教が第16回日本化学療法学会東日本支部支部長賞を受賞

受賞・表彰#薬学部

山口梢助教(薬学部臨床薬学講座感染制御薬学部門)が、演題名「障害調整生存年(DALYs)を用いた黄色ブドウ球菌による血流感染症の疾病負荷の推定」で、第16回日本化学療法学会東日本支部支部長賞を受賞しました。同賞は、第71回日本化学療法学会東日本支部総会(2024年10月17日~19日:東京ドームホテル)の一般演題の中から選定し、厳正なる選考の結果、受賞が決定いたしました。

【山口梢助教のコメント】

このたび、第16回日本化学療法学会東日本支部支部長賞(臨床)という素晴らしい賞を受賞することができ、大変光栄に存じます。

疾病負荷とは、病気や疾患がどの程度われわれの社会に負荷がかかっているかを定量的に評価する指標です。世界保健機関(WHO)は、薬剤耐性菌※による感染症の疾病負荷への対処を公衆衛生上の重要課題と位置付けています。
黄色ブドウ球菌はヒト皮膚常在菌の1種で、血流感染症の代表的な原因微生物ですが、本邦における疾病負荷に関するデータは限られています。そこで、昭和大学病院における黄色ブドウ球菌による血流感染症の疾病負荷を障害調整生存年(disability-adjusted life years; DALYs)という指標を用いて評価しました。

その結果、1患者あたりではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の疾病負荷が高い一方で、疾患全体では耐性菌ではない黄色ブドウ球菌(MSSA)の疾病負荷の方が高いことが明らかとなりました。これには、MRSAの分離頻度が減少傾向にあるのに対し、MSSAの分離頻度の増加が影響しており、MSSA感染症の発症自体を制御する対策につなげることが重要といえます。カテーテル管理や手指衛生などの感染対策の強化を重点的に行うことで疾病負荷の軽減が期待できます。

本研究にあたりご指導を賜りました、薬学部臨床薬学講座感染制御薬学部門の前田真之准教授、医学部内科学講座臨床感染症学部門の時松一成教授に心より御礼申し上げます。

※薬剤耐性(AMR):微生物に対して抗生物質が効かなくなることで、薬剤耐性菌による感染症は治療が困難となり、重症化・死亡するリスクが高くなる恐れがあります。
山口梢助教が日本支部支部長賞を受賞(左から)前田真之准教授(薬学部臨床薬学講座感染制御薬学部門)、山口梢助教(同)、時松一成教授(医学部内科学講座臨床感染症学部門)