田代良彦講師がILLS2025で「Best Oral Presentation Award」を受賞
受賞・表彰#医学部
田代講師は演題名『Laparoscopic liver surgery with the latest real time navigation integrating ICG florescent imaging and state-of-the-art AI technology』を発表し、現在術中リアルタイムナビゲーションとして活用されている光工学技術と、近い将来実現する可能性が高い人工知能(AI)技術による術中解剖構造の認識・色分け技術(color-coding)を統合した低侵襲肝切除の未来像を示したことが高く評価され、同賞に選定されました。
【田代良彦講師のコメント】
この度は、このような名誉ある賞を頂戴し大変光栄に存じます。今回、術中リアルタイムナビゲーションとして多領域の手術支援に活用されているICG(Indocyanine Green)蛍光法と、近年急速に進展し、今後の臨床応用が期待される人工知能(AI)技術を統合した低侵襲肝切除の可能性について報告いたしました。
ICG蛍光法は「見えないものを可視化する」光学技術として注目されており、肝臓外科領域においては2008年、当教室の青木武士教授(医学部外科学講座消化器一般外科学部門)が世界で初めてICGを用いた肝区域同定に成功し、その後、腹腔鏡下およびロボット支援下肝切除へと応用が広がっています。
内視鏡手術やロボット支援手術では開腹手術に比して触覚情報が制限されるため、視覚的ナビゲーションの重要性が高く、ICG蛍光観察機器は現在では標準装備とされ、精緻な手術操作において不可欠な技術となっております。
さらに、AIを導入することで肝内脈管構造を色分け(color coding)し、外科医の認知能力を向上させることができるのではないかという青木教授の発案に基づき、これまで当教室で蓄積してきた低侵襲手術のデータを用いて解析・開発を進めてまいりました。その成果として、当教室では世界で初めて、AIを用いた低侵襲肝切除中の肝内脈管構造認識モデルを構築し、この度の報告に至りました。
今後は、ICG蛍光法とAI技術の統合により、術中の視認性および解剖構造の認識精度は飛躍的に向上し、より安全かつ確実な手術を実現する術中リアルタイムナビゲーションとして、合併症の軽減や治療成績の向上に寄与することが期待されます。
本発表は、青木教授のご指導のもと教室員の仲間と共に遂行した研究成果であり、この場をお借りして心より感謝申し上げます。
