新たなバイオマーカー探索を指向した先端的薬学研究

本学薬学部で取り組んでいる「新たなバイオマーカー探索を指向した先端的薬学研究」が、平成22年度の文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成事業に採択されました。これは、中間評価を経て、最大で平成22~26年度に亘る5年プロジェクトになります。

薬学部生物化学教室の板部教授を研究代表者として、本学薬学部の教授・准教授10名が研究分担者として参加して研究グループを形成しています。

わが国で今なお主要な死因を占める悪性新生物、虚血性心疾患、脳血管疾患などの疾患への対策は急務であります。これらの疾患発症機序の解明と新たな診断法治療法の開発、そして的確な薬効評価を基にした効果的な薬物治療の選択を実現することが、QOLの向上、副作用の低減、そして医療費の抑制に寄与するものと考えています。近年、さまざまな物質を高感度かつ網羅的に解析することが可能になってきた技術的進歩を踏まえて、本プロジェクトでは遺伝子、タンパク質、脂質、薬物代謝産物などの高感度分析技術を支援するバイオマーカー探索センターを構築し、医療に関わる有用なバイオマーカーの探索を目指しています。新奇バイオマーカーを見出し、また種々マーカーの生理的病理的意義を探求することにより、疾患の発症機構を解き明かし、さらに診断方法の改善、薬効評価、副作用の予防、薬物の毒性評価の革新に繋げていきます。

平成22~26年度までの5年間で、事業規模は総額3億6千万円余りのプロジェクトとなる計画です。代謝産物の網羅的解析に威力を発揮する質量部分析装置(LC-MS/MS、GC-MS)、微量分析に有効なマイクロダイアリシス解析システム、多機能マイクロプレートリーダー、細胞や組織の解析に必要なDNAシーケンサー、サスペンションアレイシステム、蛍光顕微鏡、などの機器を導入し、新たなバイオマーカーの探索に向けた効果的な研究基盤(バイオマーカー探索センター)を構築して参ります。