てんかん診療センター

センター紹介

てんかんの診療は、新薬の開発、外科治療の進歩、高齢者のてんかん患者の増加、遺伝要因の解明など、大きく変化し、専門的な知識と経験が必要です。患者さんによってはてんかん以外の併存症を持つ場合も多く、診療科の垣根を越えた連携が大切であり、小児科、脳神経内科、脳神経外科、精神神経科を主体に、関連部署が協同して新生児から成人まで幅広く診療を行います。
DSC00276(加藤)_加工済センター長
加藤 光広

診療体制

小児科、脳神経内科、脳神経外科、精神神経科など各科の外来で診療を行います。
小児(中学生以下)はすべて小児科へ、
初発の成人の方は脳神経内科へ、
難治もしくは手術適応と考えられる方は脳神経外科のてんかん外科外来へ、
精神的問題を抱える方は精神神経科に
ご紹介ください。

診療方針

長時間ビデオ脳波同時記録による発作の捕捉や、術中脳波記録、てんかん外科治療、てんかんの遺伝相談、セカンドオピニオンなど、確かな知識と技術に基づいた先端的な医療を提供し、患者さんと御家族の抱える問題に真摯に対応します。

特徴的な診療領域

てんかんの一般診療のほかに、2名のてんかん専門医(小児科・脳神経外科)を中心に下記の専門的な診療を行っています。
長時間ビデオ脳波同時記録による発作の捕捉、術中脳波記録
難治性(薬で良くならない)てんかんに対する外科的治療
  • てんかん焦点(発作を起こす部位)切除術
  • 広範なてんかん病変を有する片側大脳半球切除・離断術
  • 脳梁(左右大脳半球を連絡する神経線維)離断術
  • 迷走神経刺激療法など
最先端の遺伝子解析によるてんかんの原因解明と遺伝相談

主な対象疾患

  • てんかん
  • 小児期発症のてんかん症候群
  • 発達性てんかん性脳症
  • 結節性硬化症
  • 限局性皮質異形成
  • 脳形成異常
  • 遺伝相談
  • 側頭葉てんかん(MRI陰性のものを含む)

診療内容や特色の詳細

定期的に院内でカンファレンスをおこない、診療方針を共有し、各科が連携しています。
全国からてんかん症候群の遺伝子診断を依頼され、遺伝相談を行っています。
てんかんの脳において正常な部と異常な部の判別はとても難しいですが、当センターでは最新の脳機能・脳波解析法を用いることにより、安全かつ正確な外科治療を行っています。

専門外来

  • 小児科 神経外来
  • 脳神経外科 てんかん外科外来
  • スタッフ紹介

    氏名・役職専門分野資格備考
    初診時の外来日時
    加藤 光広
    (医師  教授・センター長)
    小児科
    小児神経
    てんかん
    遺伝
    小児科専門医・指導医
    小児神経専門医
    臨床遺伝専門医
    てんかん専門医・指導医
    毎週火曜日午前
    戸田 重誠
    (医師  准教授)
    精神医学一般精神保健指定医
    日本精神神経学会専門医・指導医
    日本総合病院精神医学会専門医
    日本精神神経学会認知症診療医
    毎週月曜日午前
      金曜日午前
      土曜日午前
    高塩 理 
    (医師 准教授)
    精神医学一般
    不安障害
    精神保健指定医
    日本精神神経学会専門医・指導医
    一般病院連携精神医学特定指導医
    日本医師会認定産業医
    臨床研修指導医
    毎週水曜日午前
      木曜日午前
    佐藤 洋輔
    (医師 准教授・脳機能解析デジタル医学研究所所長
    脳神経外科
    脳神経電気生理学
    てんかん
    脳波コンピュータ解析
    脳神経外科専門医・指導医
    脳波専門医
    術中脳脊髄モニタリング認定医
    てんかん専門医・指導医
    毎週水曜日午前
    兼元 みずき
    (医師 助教)
    脳神経内科脳神経内科専門医
    内科認定医
    現在、てんかん専門外来は設けておりません。
    月~土曜(祝日除く)の初診担当医に、まずはご相談ください。
    必ず、紹介状を持参ください。

医療従事者の方へ

研究内容

乳幼児期に発症するてんかん性脳症の原因遺伝子を世界に先駆けて多数明らかにし、全国から患者様をご紹介いただいています。その成果の一つとして、限局性皮質異形成2型の原因がMTOR遺伝子の体細胞モザイク変異によるmTORの過剰な活性化が原因であることを明らかにしました。日本医療研究開発機構(AMED)から資金供与を受けて、限局性皮質異形成2型のてんかん発作に対するmTOR阻害剤のシロリムスを用いた臨床研究(医師主導治験と特定臨床研究)を行ないました。(Kato M. et al, Ann Clin Transl Neurol, 2022)
また、てんかん焦点を特定するために、これまでは長期間のビデオ脳波モニタリング入院や頭蓋内電極留置術を必要としていましたが、てんかん脳波データにおけるガンマ波のリズムを定量化することでてんかん焦点やネットワークを可視化することに成功し、モニタリング入院の短縮化や低侵襲てんかん外科治療の実践に繋がっています。(Sato. et al, Oper Neurosurg 2022, J Neurosurg 2021)

診療実績

てんかん症例件数(2023年度上半期実績)
  • 小児科   再診488件、初診29件
  • 脳神経内科 再診569件、初診37件
  • 精神神経科 再診337件、初診1件

てんかん症例件数(2022年度実績)
  • 小児科   再診976件、初診39件
  • 脳神経内科 再診1,160件、初診78件
  • 精神神経科 再診697件、初診3件

てんかん症例件数(2021年度実績)
  • 小児科   再診981件、初診49件
  • 脳神経内科 再診1,095件、初診79件
  • 精神神経科 再診735件、初診3件

てんかん外科外来(2023年度上半期実績)
  • てんかん外科外来新患数:7
  • てんかん外科外来フォロー患者数:約170(延べ人数)
  • てんかん外科ビデオ脳波検査患者数:5
  • てんかん外科手術件数:17

てんかん外科外来(2022年度実績)
  • てんかん外科外来新患数:約30/年
  • てんかん外科外来フォロー患者数:約300(延べ人数)/年
  • てんかん外科ビデオ脳波検査患者数:約10/年
  • てんかん外科手術件数:約30/年

てんかん外科外来(2021年度実績)
  • てんかん外科外来新患数:約20/年
  • てんかん外科外来フォロー患者数:約300(延べ人数)/年
  • てんかん外科ビデオ脳波検査患者数:約10/年
  • てんかん外科手術件数:約20/年

医療連携・紹介制度について

小児(中学生以下)はすべて小児科へ、初発の成人の方は脳神経内科へ、難治もしくは手術適応と考えられる方は脳神経外科のてんかん外科外来へ、精神的問題を抱える方は精神神経科にご紹介ください。
脳神経外科
脳神経電気生理学
てんかん
脳波コンピュータ解析