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小児循環器・成人先天性心疾患センター
センター紹介
小児循環器・成人先天性心疾患センターでは、生まれつきの心臓病(先天性心疾患)、小児期に発症する後天性心疾患(川崎病の冠動脈瘤、心筋症、心筋炎、肺高血圧、不整脈など)を専門領域として、胎児から成人まで、年齢に関わらず診療にあたっています。小児心臓血管外科は診療科長の宮原義典、岡山大学名誉教授でカリフォルニア大学サンフランシスコ校の小児心臓血管外科教授としてアメリカの心臓血管外科医に技術指導を行い、2022年、昭和大学に赴任した佐野俊二特任教授を中心として、あらゆる年齢層の先天性心疾患に対する外科治療を行います。小児循環器内科は富田 英を診療科長として、内科治療やカテーテル治療を行います。
富田 英
診療体制
小児循環器・先天性心疾患の診断、術前・術後管理には富田、藤井、喜瀬、大山、清水、矢内、長岡、石井、加藤、山岡が小児科と共同で当たっています。成人の先天性心疾患の専門外来は富田、藤井、喜瀬が担当しています。お腹の中の赤ちゃんの心臓病を心配されているお母様のための胎児心エコー外来を火曜午前・水曜午後に開設しています。宮原、佐野が中心となり、新生児から成人までの先天性心疾患に対する外科治療に取り組んでおり、先天性心疾患に対する包括的管理が可能です。
診療方針
どんな重症患者さんにも、病状に応じた世界標準の最先端医療を安全に提供することをモットーとしています。大学病院の特色を生かし、当センタースタッフはもとより、小児科・産科・成人循環器内科・集中治療科など関連診療科、看護スタッフ、技師など多職種スタッフとともにチーム医療に取り組んでいます。特徴的な診療領域
小児心臓血管外科は診療科長の宮原 義典、佐野俊二特任教授を中心として、新生児から成人まであらゆる年齢層の先天性心疾患に対する外科治療を行います。岡山大学心臓血管外科の笠原真悟教授に客員教授をお願いしており、連携して治療にあたっています。佐野特任教授のセカンドオピニオン外来があるのは当センターのみです。富田、藤井、喜瀬は先天性心臓病に対するカテーテル治療、特に動脈管開存の経皮的閉鎖、肺動脈狭窄や大動脈縮窄に対するステント留置、心房中隔欠損の経皮的閉鎖などの専門家で海外でもこれらの技術の指導にあたっています。
主な対象疾患
- 冠動脈瘤などの心血管障害を合併した川崎病、小児の肺高血圧、心筋炎、心筋症
- 先天性心疾患;心室中隔欠損、心房中隔欠損、動脈管開存、房室中隔欠損、ファロー四徴、完全大血管転位、修正大血管転位、両大血管右室起始、総肺静脈還流異常、単心室、左心低形成症候群、総動脈幹、大動脈縮窄・離断、大動脈弁狭窄、肺動脈弁狭窄、エプスタイン病など
- 小児・先天性心疾患に合併した不整脈
- 胎児の心臓病
診療内容や特色の詳細
先天性心疾患に対する外科手術では左心低形成症候群に対するNorwood-Sano手術、修正大血管転位に対するダブルスイッチ手術、完全大血管転位に対するJatene手術、単心室に対するFontan手術など、高難度の最先端手術に取り組んでいます。心房中隔欠損では側開胸による低侵襲手術を開始しました。2018年1月~2022年9月で116例の二次孔型心房中隔欠損のうち、108例(93%)では開胸せず経皮的にカテーテルで閉鎖できています。動脈管開存に対するカテーテル治療は新生児や低出生体重児へ適応拡大をはかっています。対象を限定してではありますが、昭和大学高難度新規医療技術・未承認新規薬品等評価委員会の承認を得て心室中隔欠損に対するカテーテル治療を行っています。また、Harmony経皮的肺動脈弁システムを用いて経皮的に肺動脈弁を留置するカテーテル治療(経皮的肺動脈弁留置術)を開始しました。ご希望の方は富田、藤井、喜瀬の外来でご相談ください。
専門外来
小児循環器・成人先天性心疾患センター
- 成人先天性心疾患外来
診療内容や特色の詳細
最先端の心臓MRIを行っており、成人先天性心疾患では第一選択の診断法となっています。放射線被曝が問題とされがちなCTもごくわずかな被爆量まで軽減しています。日本成人先天性心疾患学会の専門医修練施設として認定されております。胎児心臓超音波専門施設ですので、お腹なの中の赤ちゃんの心臓病がご心配な方は胎児心エコー外来にご相談ください。周産期母子医療センターと連携して包括的な管理が可能です。スタッフ紹介
医師名 | 役職 | 専門分野 | 資格 |
![]() | 特任教授/小児循環器内科 診療科長 | 小児循環器病学、先天性心疾患のカテーテル治療 | 循環器専門医、小児循環器専門医、小児科専門医・指導医、心臓病上級臨床医(FJCC)、日本超音波医学会専門医・指導医、ASD・PDA閉鎖栓教育担当医師・認定術者、成人先天性心疾患専門医 WhytRunner Medical Note |
![]() 佐野 俊二 | 特任教授 | 先天性心疾患 | 心臓血管外科専門医、外科専門医、成人先天性心疾患専門医 DtoDコンシェルジュ |
![]() 宮原 義典 | 教授/小児心臓血管外科 診療科長 | 小児心臓外科 | 外科専門医、心臓血管外科専門医、心臓血管外科修練指導医、成人先天性心疾患専門医 |
![]() 藤井 隆成 | 教授 | 小児循環器病学、先天性心疾患のカテーテル治療、小児科学 | 循環器専門医、小児科専門医・指導医、小児循環器専門医、ASD閉鎖栓認定術者、PDA閉鎖栓教育担当医師・認定術者、 先天性心疾患インターベンション認定医、成人先天性心疾患専門医、出生前コンサルタント小児科医、胎児心エコー認証医、経皮的卵円孔開存閉鎖術実施医、剣道 六段 |
![]() 喜瀬 広亮 | 准教授 | 小児循環器病学、先天性心疾患のカテーテル治療、小児科学 | 循環器専門医、小児科専門医・指導医、小児循環器専門医、ASD閉鎖栓認定術者、PDA閉鎖栓認定術者、日本周術期食道心エコー(JBPOT)認定医、経皮的卵円孔開存閉鎖術実施医、国内A級ライセンス |
![]() 清水 武 | 講師 | 小児科学、新生児学、小児循環器学 | 小児科専門医、新生児専門医、小児循環器専門医、出生前コンサルタント小児科医、胎児心エコー認定医、元日本スノーボード協会認定C級インストラクター |
![]() | 助教 | 小児循環器学 | 小児科専門医 |
堀尾 直裕 | 助教 | 心臓血管外科 | 外科専門医、心臓血管外科専門医 |
![]() 長岡 孝太 | 助教 | 小児科学、小児循環器病学 | 小児科専門医、小児循環器専門医、小児慢性特定疾病指定医 |
![]() 佐野 俊和 | 助教 | 心臓血管外科 | 外科専門医 |
![]() 石井 瑤子 | 助教 | 小児科学、小児循環器学 | 小児科専門医 |
![]() 加藤 真理子 | 助教 | 小児科学、小児循環器学 | 小児科専門医 |
![]() 山岡 大志郎 | 助教 | 小児科学、小児循環器病学 | 小児科専門医 |
非常勤医師
医師名 | 役職 | 専門分野 | 資格 |
![]() 笠原 真悟 | 客員教授(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 心臓血管外科 教授) | 小児心臓血管外科、成人先天性心疾患、移植 | 日本胸部外科学会認定(認定医)、日本成人先天性心疾患学会暫定指導医 岡山大学大学院医歯薬総合研究科 岡山の医療健康ガイド MEDICA |
![]() 大山 伸雄 | 兼任講師 | 小児循環器、循環器画像診断(心臓MRI/CT)、小児科学 | 小児科専門医、難病指定医、小児慢性特定疾病指定医 |
外来担当医表
小児循環器・成人先天性心疾患センター
医療従事者の方へ
研究内容
MRI, CT, 心エコーなどを用い、外科治療やカテーテル治療に直結する心腔内3次元構造の、より低侵襲で正確な解析方法の開発に取り組んでいます。カテーテル治療の分野では新しい治療デバイスの臨床試験や新しいデバイスの開発に取り組んでいます。
先天性心疾患の外科治療後に合併しやすいリンパ管障害の原因や治療法についても研究しています。
先天性心疾患に対する新しい手術術式の開発、外科治療とカテーテル治療の連携などについて研究しています。
科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)
2021年~継続中 ・先天性心疾患における術後リンパ管合併症の発症予測と早期診断法の確立に関する研究
2023年~継続中 ・非造影MRIよる先天性心疾患患者のリンパ管の形態評価に関する研究
・3D プリンティングによる動脈管ステント留置最適化アルゴリズムの構築
・CRISPR/dCas13を用いた拡張型心筋症の治療標的となるRNA配列マッピング
診療実績
外来・入院実績(2022年)
2022年胎児診断 52人
新生児心疾患 22人
先天性心疾患新規患者 120人
成人先天性心疾患 250人
手術実績(2022年)
2022年96例に対して外科手術を施行。修正大血管転位に対するダブルスイッチ、大動脈弓離断をともなう大動脈肺動脈窓など高難度手術にも対応します。
心室中隔欠損閉鎖術 | 11 |
動脈管閉鎖術(直視下) | 8 |
両大血管右室起始症・ファロー四徴症手術 | 7 |
肺動脈絞扼術 | 7 |
単心室症手術(グレン・フォンタン) | 5 |
肺動脈弁置換・導管交換 | 5 |
BTシャント | 4 |
ECMO手術 | 4 |
ラステリ手術 | 3 |
僧帽弁形成術 |
3 |
Cone手術 | 2 |
完全型房室中隔欠損症手術 | 2 |
心房中隔欠損閉鎖術 | 2 |
大動脈基部置換 | 1 |
肺静脈還流異常症手術 | 2 |
大動脈縮窄症手術 | 1 |
ノーウッド手術 | 1 |
冠動脈起始異常症手術 | 1 |
その他 | 25 |
心臓カテーテル/CT MRI実績(2022)
2022年- 心臓カテーテル186人(うち治療カテーテル93人、94手技)
- 先天性心疾患に対する低被爆CTを87件、MRIを82件行っています。
MRIは乳児から高齢者まで幅広い年齢層に行っており、心房中隔欠損の術前評価、ファロー四徴・肺動脈閉鎖・大血管転位・単心室など複合先天性心疾患の術前および術後評価に威力を発揮しています。
経皮的肺動脈拡張術 | 24 |
経皮的心房中隔欠損閉鎖術 | 22 |
経皮的動脈管開存閉鎖術 | 17 |
経皮的胸部血管拡張術 | 11 |
血管塞栓術 | 5 |
経皮的心房中隔欠損作成術 | 5 |
経皮的心室中隔欠損閉鎖術 | 4 |
経皮的肺動脈弁形成術 | 2 |
経皮的卵円孔開存閉鎖術 | 1 |
経皮的腎動脈形成術 | 1 |
医療連携・紹介制度について
川崎病後の後遺症が心配、心雑音が聞こえた、チアノーゼがある、学校心電図検診で異常を指摘された、子供の頃心臓病の手術を受けたけれどもその後検査を受けていない、ご家族に心臓病の方がたくさんいて心配、お腹の中の赤ちゃんの心臓病が心配、このような患者さんがおられましたら年齢を問わず、富田、藤井、喜瀬、清水の外来にご紹介ください。子どもの時に心臓病の手術をして成人になられた患者さん、こどもから大人まで脈の乱れでお困りの患者さんは富田または藤井の外来にご紹介ください。
動脈管開存、心房中隔欠損を胸を開かずに治療したいとご希望の患者さんがいらっしゃいましたら、富田、藤井または喜瀬の外来にご紹介ください。