眼内レンズ縫着術・強膜内固定術について

責任医師:浅野泰彦(准教授)
白内障手術では、混濁した水晶体を除去して眼内レンズを移植します。水晶体嚢を袋状に残して、その中に眼内レンズを入れて固定するのが一般的な固定法ですが、様々な理由で水晶体嚢が残すことができない人が一定数存在します。具体的には術中の破嚢(水晶体嚢が破れる)、チン小帯(水晶体の支えの組織)脆弱による水晶体脱臼例などがこれにあたります。このような場合、眼内レンズを移植するためには強膜(白目の壁)に眼内レンズを糸で縫い付けて固定する方法(眼内レンズ縫着術)や、強膜に眼内レンズを直接埋没して固定する方法(眼内レンズ強膜内固定術)を行う必要があります。
また、過去に白内障手術の際に固定した眼内レンズが経年変化で眼内でズレてしまったり、眼内に落下してしまうこともあります。近年、このような症例が大変増加していますが、この場合もズレたり落下した眼内レンズを摘出し、新たな眼内レンズを縫着・強膜内固定する必要があります。
当院では、このような症例に対する眼内レンズ縫着・強膜内固定術を積極的に行っております。眼内レンズ縫着術においては、昭和大学で開発した縫着用針糸(連結型ループ針)を使用して、従来の方法よりも低侵襲で確実な手術が可能になりました。また、強膜内固定術においても、昭和大学で開発した専用鑷子(眼外ガイド用強膜内固定鑷子)を用いて、眼にやさしく、長期予後に配慮した手術を行っています。
眼内レンズ縫着術と強膜内固定術のどちらを選択するかについても十分に考慮する必要がありますが、症例ごとの眼の状態を考慮して患者さんと相談しながら決定していきます。

手術統計(眼内レンズ縫着術・強膜内固定術)
2023年 83件
2022年 79件
2021年 46件
2020年 61件
2019年 67件
図3
図4
図5
図6