循環器内科

診療科紹介

当科は循環器領域全般(虚血性心疾患、不整脈、弁膜症、心不全、末梢動脈疾患、静脈系疾患、成人先天性心疾患)を対象としています。各々の専門医が急性期・慢性期疾患の診断と治療を幅広く行っています。また、これら疾患の一次・二次予防も大切であると考え、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)の管理も積極的に行っています。病床数は76床(CCU14床、一般62床)を有し、医局員全員が一致団結して患者様に対して誠実な対応と高度な医療サービスを行うことを常に目指しています。また、将来を担う研修医や若手循環器医の育成にも力を注いでいます。
DSC04517(新家)_加工済診療科長
新家 俊郎

診療体制

当科では30名以上の医師で診療を行っています。夜間・休日も常に複数名の循環器専門医が待機しており、24時間あらゆる心疾患に対処できる体制を整えています。外来診療は平日の午前・午後、土曜日は午前に行っています。初診の患者様はなるべくお待たせしないように心掛けています。地域医療機関との連携を重視しており、新規(紹介状を持参していなくても)の患者様を積極的に受け入れています。救急患者様の受け入れは日昼夜間を問わず行っており、迅速に対応しています。特に重症の患者様は、心疾患に特化した集中治療室であるCCUに入室していただき厳重に管理します。

診療方針

昭和大学の理念である「至誠一貫(真心をもって何事も立ち向かうこと)」を貫き、患者様本位の医療を提供することを常に目指しています。また、専門性に基づく高度な医療の提供を目的として、虚血性心疾患をはじめ、不整脈、心臓画像診断、心臓超音波、心不全、心臓リハビリテーションなどの幅広い循環器分野の専門医が診療にあたります。各々の専門医が緊密に連携を取りながら十分な協議を重ね、質の高い医療を提供いたします。

主な対象疾患

  • 心不全
  • 虚血性心疾患
  • 狭心症
  • 心筋梗塞
  • 徐脈性不整脈
  • 洞不全症候群 (SSS)
  • 房室ブロック (A-Vブロック)
  • 頻脈性不整脈
  • 発作性上室性頻拍 (PSVT)
  • WPW症候群
  • 心房細動 (AF)
  • 心房粗動 (AFL)
  • 期外収縮
  • 心室頻拍 (VT)
  • 心室細動 (VF)
  • QT延長症候群
  • Brugada症候群
  • 心臓弁膜症
  • 僧帽弁狭窄症 (MS)
  • 僧帽弁閉鎖不全症 (MR)
  • 僧帽弁逸脱症 (MVP)
  • 大動脈弁狭窄症 (AS)
  • 大動脈弁閉鎖不全症 (AR)
  • 連合弁膜症
  • 成人先天性心疾患
  • 心房中隔欠損症 (ASD)
  • 心室中隔欠損症 (VSD)
  • 動脈管開存症 (PDA)
  • 心内膜・心筋・心膜疾患
  • 感染性心内膜炎
  • 心筋症
  • 拡張型心筋症 (DCM)
  • 肥大型心筋症 (HCM)
  • 拘束型心筋症
  • 二次性心筋症
  • 心アミロイドーシス
  • 心臓サルコイドーシス
  • Fabry病
  • たこつぼ型心筋症
  • 心筋炎
  • 急性心膜炎
  • 心タンポナーデ
  • 収縮性心膜炎
  • 動脈疾患
  • 急性動脈閉塞症
  • 閉塞性動脈硬化症 (ASO)
  • 静脈疾患
  • 深部静脈血栓症
  • 肺血栓塞栓症 (PE)
  • 肺高血圧症
  • 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 (CTEPH)
  • 血圧異常
  • 本態性高血圧症
  • 二次性高血圧症
  • 低血圧症
  • 起立性調節障害
  • 脂質異常症・高脂血症
  • 家族性高コレステロール血症

専門外来

循環器内科

  • 虚血性心疾患外来
  • 不整脈外来
  • 生活習慣病外来
  • 弁膜症・先天性心疾患外来
  • TAVI外来(経カテーテル大動脈弁移植術外来)
  • 閉塞性動脈硬化症・肺高血圧症外来
  • 心血管リハビリテーション外来
  • ペースメーカー外来
  • 出血予防外来
  • 脂質異常症・遺伝子外来(2024年4月開設予定)

より細かな診療内容や特色の詳細

虚血性心疾患外来
狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患を判別するための外来です。冠動脈CTや心臓超音波検査, 心筋シンチグラフィーで速やかに虚血性心疾患の診断をいたします。当院ではカテーテル検査(CAG)やステント治療(PCI)も積極的に行っており、高度複雑病変も当院で治療可能です。無症状であっても高血圧や糖尿病などの冠危険因子を複数有した患者様の冠動脈精査も行っております。急性心筋梗塞や不安定狭心症に対しては、虚血性心疾患外来の時間枠以外でも24時間体制で緊急対応しております。
不整脈外来
各種不整脈の診断・治療を行います。心房細動, 心房粗動, 心室性期外収縮, 発作性心房細動などの薬物治療のほか、心房粗動, 上室性頻拍症, WPW症候群, 心室頻拍などの不整脈に対してカテーテルアブレーション治療を行っています。 当院ではCARTO , Ensite NavXといった三次元マッピングシステムを用いることにより、複雑な不整脈治療も可能です。また、致死性不整脈に対する植え込み型除細動器植え込み術、難治性心不全に対する両室ペーシング治療も行っています。徐脈性不整脈に対しては、永久式ペースメーカー、リードレスペースメーカーの植え込み・管理を行っています。また、心房細動にともなう心原性脳梗塞発症予防の最新治療である経皮的左心耳閉鎖術も積極的に行っております。失神診療においては、Head-up tilt試験、ループ式植え込み型心電計などを用いて診断を行っています。
生活習慣病外来
高血圧, 脂質異常症, メタボリックシンドロームや動脈硬化など心臓病の原因となる生活習慣病をお持ちの患者様、家族性高コレステロール血症や現在の脂質低下薬治療でお困りの患者様の診療を行っています。当院では心臓病や脳卒中の予防の観点から血管の健康状態をしっかりと管理できるように、血管内皮機能検査(FMD)や脈波測定装置(CAVI, ABI)、頸動脈エコーなどの最新機器を取りそろえております。
弁膜症・先天性心疾患外来
成人期に先天性心疾患と診断された患者様の心臓精密検査および定期的な外来フォローをいたします。当院は心房中隔欠損症 (ASD), 卵円孔開存症(PFO)に対するアンプラッツァー閉塞塞栓による低侵襲カテーテル治療および動脈管開存症(PDA)に対するアンプラッツァー・ダクト・オクルーダーによる低侵襲カテーテル治療が可能な施設です。
大動脈弁狭窄症・閉鎖不全症, 僧帽弁狭窄症・閉鎖不全症の患者様の診断・治療および定期的な外来フォローをいたします。当院では心臓弁膜症に対する治療を循環器内科・心臓血管外科を中心としたハートチームで総合的に取り組んでいます。弁膜症に対する治療は保存的加療, 外科的治療およびカテーテル治療の選択肢があり、どの治療がベストであるか検討し、適切なタイミングで患者様に合った治療を提案いたします。
 又、僧帽弁閉鎖不全症に対する新しい治療である経皮的僧帽弁クリップ術 (MitraClip)を開始致しました。今までは僧帽弁閉鎖不全症に対しては外科的手術しか方法がありませんでしたため外科手術が困難である患者様は治療が困難でありました。しかしこの治療はカテーテル治療で僧帽弁の逆流を軽減させることが可能でありますため外科手術よりも体の負担が少なく、年齢や併存症のため外科手術が困難な患者様でも治療が可能であります。
TAVI外来(経カテーテル大動脈弁移植術外来)
大動脈弁狭窄症でお困りの患者様を診察しています。TAVI治療は大動脈弁狭窄症の患者様を対象に、患者様への負担が少なく外科的手術を受けられない高齢の患者様を救う治療法として期待されています。循環器センターチームによって診断からTAVI治療, 入院中のリハビリテーションおよび退院後の社会復帰に至るまで包括的に介入いたします。
現在、侵襲的な治療の必要がない大動脈弁狭窄症の患者様も当院でも並行してフォローアップいたします。
閉塞性動脈硬化症・肺高血圧症外来
閉塞性動脈硬化症による足の痛みや壊疽に対する治療を専門的に行う外来です。当院ではカテーテル治療での血行再建を積極的に行っています。重症虚血肢(CLI)や他院で治療困難な症例に対しても治療を行っておりますのでご相談ください。
肺高血圧症ならびに、肺血栓塞栓症の診断および薬物治療を行っています。息切れが長く続いたり、むくみがあり原因がよくわからないとされている患者様は肺高血圧症の可能性がありますので一度受診してください。また、当院は指定難病である慢性血栓性肺高血圧症(CTEPH)の低侵襲治療であるカテーテルを用いたバルーン肺動脈拡張術(BPA)が施行可能な施設であり、良好な成績を残しています。
心血管リハビリテーション外来
多くの患者さんに、心臓リハビリテーションをご利用いただけるように、心臓リハビリテーション外来を開設しています。急性心筋梗塞, 狭心症, 開心術(冠動脈バイパス術や心臓弁膜手術)後, 慢性心不全, 大血管疾患(胸腹部動脈瘤術後など), 閉塞性動脈硬化症と診断されて治療中の患者様が心臓リハビリテーションの対象となります。運動療法によるリハビリテーションはもちろんのこと、精神的なケアも含めた包括的心臓リハビリテーションを提供いたします。年齢を問わず、日常生活や社会生活への復帰に不安をお持ちになる循環器疾患の患者さんの支援を致します。年齢や病気に関係なく、心臓リハビリテーション開始後150日間が保険診療の適応となります。
ペースメーカー外来
心不全や不整脈によりペースメーカーや植え込み型除細動器を植え込みされた患者様を対象とした診療を行っています。植込みデバイスは心臓の働きに関わる精密機械であるため定期的なチェックが必要です。当外来では電池残量の確認, 動作確認, リード線の異常有無や患者様の不整脈・心不全の有無をチェックいたします。
出血予防外来
心房細動の患者様への抗凝固療法による脳梗塞の予防は重要な治療法です。しかし冠動脈狭窄や脳血管狭窄があると更に抗血小板薬を追加投与しなければならず、消化管出血等の出血性疾患を引き起こすことがあります。このように出血リスクが高い患者への新しい治療法として経皮的左心耳閉鎖術を当院で始めました。この治療法をすることにより抗凝固薬を使用しないでも心房細動患者の脳梗塞予防を可能となりました。
脂質異常症・遺伝子外来
2024年4月から新たに脂質異常症・遺伝子外来を開始致します。動脈硬化性心血管疾患の成因には遺伝子異常に基づく脂質異常症が相当数存在します。そのような例では、家族を含めた包括的診療が予防に重要です。循環器内科では心血管疾患の予防のため家族性高コレステロール血症の患者の遺伝子検査を行う外来を開設予定です。

スタッフ紹介

外来担当医表

循環器内科

医療従事者の方へ

研究内容

  • 急性心筋梗塞発症機序に関する、基礎、臨床研究
  • 新規冠動脈治療デバイスの開発
  • 致死性不整脈の発生機序の解明と、新規治療法の開発
  • 心臓弁膜症の重症化機序の解明と予後改善のための治療法の開発
  • 心原性脳塞栓症の発症メカニズムごとの個別化医療の開発
  • 成人先天性心疾患の自然予後の解明と至適介入治療法の開発
  • 慢性血栓塞栓性肺高血圧症の病態解明に関する基礎臨床研究
  • 下肢閉塞性動脈硬化症と全身動脈硬化性疾患の関連と予後に関する研究
  • 心臓リハビリテーションによる、虚血性心疾患、心不全、不整脈の予後改善効果の検証
  • 睡眠時無呼吸症候群と循環器疾患の関連に関する研究

診療実績

循環器内科診療実績


2020年2021年2022年
入院患者数総数(入院数)1,935名2,027名 2,649名

平均在院日数10.1日10.4日10.5日
検査経胸壁心エコー検査13,432件15,256件15,115件
経食道心エコー検査518件682件642件
トレッドミル運動負荷心電図検査285件355件
ホルター心電図検査1,354件1,359件1,688件
心臓核医学検査(総数)424件362件
 運動負荷205件
 薬剤負荷214件
 安静5件
心臓MRI検査463件
475件
458件
冠動脈CT検査973件
1,066件
760件
心臓カテーテル検査(総数)749件705件680件
不整脈電気生理検査
 (経皮的カテーテル電気焼灼術を除く)
27件43件59件
治療経皮的冠動脈形成術458件474件435件
末梢血管形成術123件141件94件
経皮的カテーテル心筋焼灼術 (ablation)289件313件285件
経カテーテル大動脈弁留置術 (TAVI)*39件48件 35件
バルーン肺動脈拡張術 (BPA)2件10件4件
ペースメーカー植え込み件数 (新規)85件83件80件
 リードレスペースメーカー21件42件37件
心臓再同期療法 (新規)9件16件10件
植え込み型除細動器 (新規)25件22件20件
植え込み型心電図計 (ILR)21件25件
心大血管リハビリテーション新規患者数347件
413件
心大血管リハビリテーション実施件数8,313件8,316件
外来心臓リハビリテーション患者数
入院心臓リハビリテーション患者数
*心臓血管外科との合同

医療連携・紹介制度について

外来診療は平日の午前・午後、土曜日は午前に行っていますので、ご紹介をお願いいたします。初診の患者様はなるべくお待たせしないように心掛けています。専門外来につきましては予約制となります。地域医療機関との連携を重視しており、新規(紹介状を持参していなくても)の患者様を積極的に受け入れています。当院での診断・治療後はできるだけかかりつけの先生にお戻ししております。当院外来と併診させていただくこともありますので、ご協力お願いいたします。
また、救急患者様の受け入れは日昼夜間を問わず行っており、迅速に対応しています。地域医療機関(開業医)の先生方との間に開業医ホットライン(ハートラインシステム:03-3784-8180)も運用しています。これにより受け入れ時間は大幅に短縮され、迅速な診療が可能となっています。