脳血管内治療

脳血管内治療にもAI技術初導入

当科では2023年12月から脳血管内手術を支援するAI(Neuro-Vascular Assist)を初導入いたしました。

昨今、車でもAI技術が浸透してきており、安全性が向上している中、医療技術にも応用されるようになってきました。

医師が安全領域を設定すると医療器具がその領域を逸脱した場合アラームが鳴るようになっており、危険な出来事が起こる前に認識できるシステムとなっており、目視だけではなく耳で認識できるようになっています。このAI技術の導入に伴い、安全性の向上だけでなく、若手医師はアラームを認識することでその事象の重要性を学習でき、安全性と教育を両立させたAI技術であると考えています。

開発者であるiMedの河野医師と協力して更なるアップデートを行っています。

詳しくは脳血管内治療で気軽に相談ください。

                  AIについての記載記事 
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脳血管内治療とは

脳の病気に対してカテーテルにて行う治療のことです。手術ではありませんので、"切らずに治療"できます。近年、カテーテル治療がさかんに行われるようになってきました。治療件数も徐々に増加してきておりますが、手術に比べて歴史の浅い治療法ですが、新しい治療器具や新しいテクニックが年々登場してきており、進歩がめざましい分野であります。治療内容によって、局所麻酔で行うものと全身麻酔で行うものがあります。


脳血管内治療の対象となる病気

脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)

脳動脈瘤は、血管の"コブ"で、破裂するとくも膜下出血などを引き起こします。動脈瘤のうち、小さなもの以外は、破裂の予防のため治療が薦められることが多いです。カテーテル治療では、脳動脈瘤の中に細いカテーテルを誘導し、プラチナ製のコイルを詰めていきます。間口の広い動脈瘤に対してはステントを併用します。 脳動脈瘤に対する治療は、今まで手術が主流でしたが、近年カテーテル治療が増加してきており、国内外ともスタンダードな治療となりました。頭部や頸部に傷を残さずに治療できるのが良い点です。 約10%強に生じる再発や再治療が問題でしたが、いろいろなデバイスが開発されつつあり、近年フローダイバーターステントという目が細かく、動脈瘤内への血流がコイルを使用しないでもシャットアウトできる根治性の高いステントも登場し、当科でも特に大型動脈瘤で積極的に使用するようになっています。また動脈瘤の内部に挿入する鳥かごのような形をしたウェブというデバイスも使用できるようになってきており動脈瘤によっては威力を発揮しています。

FD1
フローダイバーターステント
ウェブ

頚動脈狭窄症

細くなった首の血管(頸動脈)をバルーン(風船状の器具)で拡張させ、ステントとよばれる金属製の筒を留置する治療法です。頸動脈狭窄に対しては、まず薬物療法を行いますが、狭窄が強い(血管が非常に細い)場合、手術が必要となってきます。カテーテル治療は、原則として手術が困難な方にたいして行われます。
詳しい説明はこちらをご覧ください。

脳主幹動脈狭窄症

脳の血管が細い場合、脳の血流が低下し、一過性脳虚血発作や脳梗塞を来すことがあります。原則として薬物治療が主体となり、抗血小板薬を使用します。しかし、状態に応じてカテーテル治療にて細くなった部分を広げる事もあります。

超急性期脳梗塞

脳の血管が詰まってしまい脳の血流が無くなると脳の組織が死んでしまいます。この状態を脳梗塞といいます。脳の血管が詰まってしまっても、数時間以内に再び血が流れるようにすれば、脳組織が死なずにすむこともあります。現在t-PAと呼ばれる注射薬を用いての治療と平行して血管内治療を行います。特に内頚動脈と呼ばれる太い血管では t-PAが無効であることも多いため、治療法として血管内治療が重要となってきます。

脳動静脈奇形(のうどうじょうみゃくきけい、AVM)

脳動静脈奇形は血管の病気で、先天性異常と考えられています。ナイダスと呼ばれる異常に拡張した血管のかたまりと、それに付随する拡張した動脈および静脈を認めます。これらの血管病変が出血を来すことがあるため治療を行います。カテーテルを血管病変の近くまで進め、脳動静脈奇形を詰めてしまいます。その際、Onyx(オニックス)やNBCA(ヒストアクリル)と呼ばれる液体塞栓物質やプラチナコイルなどを使用します。一般的にはカテーテル治療を行った後、手術で病変を摘出してしまいますが、一部の病変では、血管内治療のみで治癒できるものもあります。
詳しい説明はこちらをご覧ください。

硬膜動静脈瘻(こうまくどうじょうみゃくろう、dAVF)

脳を覆っている硬い膜で硬膜(こうまく)と呼ばれるものがあります。硬膜にも他の組織と同じように動脈(血液を送る血管)と静脈(血液を心臓に戻す血管)があり、その間に毛細血管が存在します。硬膜の動脈と静脈が、毛細血管を介さずに直接つながってしまった状態を、硬膜動静脈瘻といいます。治療はカテーテルで行われることが多いですが、一部のものは手術の対象となります。
詳しい説明はこちらをご覧ください。

まずは、ご相談を。

脳ドックなどで脳動脈瘤や頚動脈狭窄症などと診断されると、症状や治療などについて不安があると思います。手術を受けないといけないのか?薬では治せないのか?カテーテル治療はどうなのか?といった疑問を持たれると思います。動脈瘤や頚動脈狭窄症、脳血管狭窄、脳梗塞で、手術をおこなわず薬だけで様子を見ることもありますし、カテーテル治療にて治ることも多々あります。昭和大学では、金曜日に脳血管内治療外来を行っております。カテーテル治療や手術、薬での治療も含め、患者さんそれぞれに合った治療方針を考えていきます。まずは外来で何でもお話ください。