アクロメガリー(先端巨大症)
現在は,  「末端肥大症」という名称は使用されておりません.

<お知らせ 1>
2022年12月17日(土)
平日受診困難な患者さんのために、臨時下垂体腫瘍外来を行います。
下垂体腺腫・頭蓋咽頭腫等で、相談・手術希望の方。
予約が取れますが、予約無しでも対応いたします。
9:00-14:00に初診受付へお越しください。
紹介状は無くても対応いたします。
「医局員土曜」枠で予約をお取りください。

<お知らせ 2>
2022年12月13日(火)の受付時間は,9:30-11:30となります。

アクロメガリー(先端巨大症)とは

成長ホルモンの過剰分泌により、身体の変化・代謝異常が見られる病気です。適切な治療が施されなければ、重度の合併症を引き起こし生命予後も悪くなってしまいます。アクロメガリーは希少疾病で認知度が低いうえに、専門医ではない各診療科の先生方は実際に診療する機会が非常に少ないため見逃されている患者さんも相当数存在すると言われています。
原因のほとんどは、「成長ホルモン産生下垂体腺腫」です。

アクロメガリー01下垂体腺腫のMRI

アクロメガリーの症状

「下垂体腺腫そのものによる症状」と「成長ホルモンが過剰のためにおこる症状」があります。

下垂体腺腫については、こちらをご覧ください。

成長ホルモンが過剰のためにおこる症状

  1. 顔貌の変化
    ・眉間(みけん)・頬骨の突出
    ・下顎の突出 → 噛み合わせが悪くなる
    ・鼻、口唇、耳たぶ、舌:分厚く大きくなる(舌が大きくなることにより睡眠時無呼吸の原因にもなります)
    アクロメガリー02特異的な鼻翼の増大と分厚くなった口唇の写真
  2. 手・足の変化:サイズが大きくなる
    ・以前入っていた指輪、手袋が入らなくなる
    ・足のサイズが大きくなる
  3. 月経の異常:月経不順、月経が止まる
  4. 代謝の異常:治療してもなかなか良くならない「糖尿病」「高血圧症」「高コレステロール血症(脂質異常症)」
  5. 皮膚の変化
    ・皮膚が分厚くなる:握手をするとゴツゴツした感触がする
    ・発汗が多くなる

アクロメガリーの診断

厚生労働省の研究班による「先端巨大症の診断の手引き」があり、これに基づいて診断します。項目がいくつかありますが、採血検査で「成長ホルモン(GH)」と「インスリン様成長因子-1(IGF-1)[ソマトメジンC]」を測定することによりアクロメガリーが疑われるかどうかをスクリーニングすることができます(が、健康診断の採血項目に含まれていません)。日常的な採血検査では、この項目が含まれていない印象があります。
「臨床症状」「成長ホルモンに関連する採血検査」「頭部MRI検査」により診断します。

厚生労働省の「間脳下垂体機能障害に関する調査研究」班により「先端巨大症の診断と治療の手引き」が作成されています。

Ⅰ.主症候
1)手足の容積の増大
2)先端巨大症様顔貌(眉弓部の膨隆、鼻・口唇の肥大、下顎の突出など)
3)巨大舌

Ⅱ.検査所見
1)成長ホルモン(GH)分泌の過剰
  血中GH値がブドウ糖75g経口投与で正常域まで抑制されない
2)血中IGF-I(ソマトメジンC)の高値
3)MRIまたはCTで下垂体腺腫の所見を認める

Ⅲ.副症候および参考所見
  1)発汗過多
  2)頭痛
  3)視野・視力障害
  4)月経異常
  5)睡眠時無呼吸症候群
  6)耐糖能異常
  7)高血圧
  8)不正咬合
  9)  変形性関節症、手根管症候群
10)頭蓋骨および手足の単純X線の異常
診断基準
確実例:ⅠのいずれかとⅡのすべてを満たすもの

アクロメガリーは、なぜ治療しなければならないか?

成長ホルモンの過剰な状態が長期に持続すると、さまざまな合併症が出現します。何も治療をしないと一般健常人に比べて死亡率が2-4倍になり、寿命が平均10-15年短くなることが報告されています。しかし適切に治療を施すことによって、ほとんどの方は健康な生活を送ることができます。

アクロメガリーにみられる合併症

1) 心血管障害:狭心症・心筋梗塞・心不全
2) 脳血管障害:脳梗塞・脳出血
3) 悪性腫瘍:大腸がんの発生との関連を指摘する報告もあります
4) 呼吸器疾患:睡眠時無呼吸症候群
5) 月経不順・無月経・不妊症:不妊症の原因として、しばしば見逃されます

アクロメガリーの治療

治療の原則は「手術治療」です.  薬物療法と放射線療法を組み合わせることがあります.

手術で治癒可能な腫瘍を確実に摘出するのが、最善の方法です。(一般市中病院では、「手術でおおまかに腫瘍を摘出して、あとは薬物治療を」と考えている先生が少なからずいますが、初回の手術が最も重要です。)全身合併症のため、全身麻酔、手術が困難な場合を除いて、手術療法が第一選択の治療(まず行うべき治療)です。

当科では原則として「内視鏡下経蝶形骨洞的腫瘍摘出術」を行います。内視鏡を導入することにより、病変を詳細に観察して摘出率の向上に努めています。内視鏡下経蝶形骨洞的腫瘍摘出術はこちらをご参照ください。

アクロメガリーの手術治療の鍵は、「被膜外摘出」です。腫瘍だけでなく腫瘍を包んでいる被膜ごと摘出すると治癒率が向上すると言われています。神経内視鏡は、術野をより鮮明に観察できるハイビジョンや4K対応カメラを搭載しており、術野観察における精度向上が可能となります。

手術治療による治癒率

アクロメガリーでは、コルチナコンセンサスという厳格な内分泌学的治癒達成基準があります。具体的には、血中成長ホルモン値がブドウ糖75g経口投与により0.4ng/mL未満にまで抑制されることと, 血清IGF-1値の正常化が求められます。当院では、神経内視鏡手術を導入することにより治癒達成率が向上しております。
当科における治癒達成率は以下の通りです。Knosp(ノスプ)グレードとは、トルコ鞍内に限局する小さな腫瘍がグレード1、トルコ鞍の外側にある海綿静脈洞への腫瘍伸展が強くなるほどグレードが高くなります。Knosp 4を手術のみで治癒基準を達成するのは困難です。
当科におけるアクロメガリーの手術による治癒基準達成率
Knosp(ノスプ)グレード1234
手術による治癒基準達成率(%)100100820

アクロメガリーに対する集学的な治療

アクロメガリーの治療で重要なのは、前述のとおり手術治療ですが、海綿静脈洞や周囲組織に大きく浸潤している腫瘍は、残念ながら完全摘出は困難です。厳格な内分泌学的治癒基準では、手術による全摘出率は50-70%程度と報告されています。このような場合は、手術治療に加えて「薬物治療」「定位的放射線治療」を組み合わせる必要があります。そのため、当院では内分泌内科専門医と一緒に治療を行っております。
アクロメガリーに対する薬物治療
1) ソマトスタチン誘導体
 酢酸オクトレオチド(サンドスタチン®),  ランレオチド酢酸塩(ソマチュリン®),  パシレオチド(ジグニフォー®)
 → 注射製剤です。成長ホルモンの分泌を抑制します。腫瘍が縮小する例もあります。

2) ドパミン作動薬
 ブロモクリプチン(パーロデル®)、カベルゴリン(カバサール®)
 → 内服薬です。

3) 成長ホルモン受容体拮抗薬(成長ホルモンアンタゴニスト)
 ペグビソマント(ソマバート®)
 → 注射製剤です。
アクロメガリーに対する定位的放射線治療(ガンマナイフ・サイバーナイフ)
手術治療・薬物治療により治療効果が十分得られない場合は、定位放射線治療を行います。

アクロメガリーの治療は, それぞれの患者さんに合わせたテーラーメイドである必要があり, 内分泌専門医(下垂体専門の脳外科医・内分泌内科医)による厳格な治療戦略を立てることが必要です. アクロメガリーが疑われる方は, 是非, ご相談ください. 

担当:谷岡 大輔 准教授

日本内分泌学会専門医(脳神経外科部門)
日本間脳下垂体腫瘍学会員
日本神経内視鏡学会技術認定医

外来は火曜日に行っております. 紹介状があると助かりますが, 無くても対応いたします.

紹介状のある方は, 初診の方でも昭和大学病院医療連携室で診察予約が可能です.
たくさんのご予約を頂いており, 予約が取りづらいことがございます.その際は, 予約がなくても結構です.
火曜日 9:30~14:00に初診受付にお越しください。
※待ち時間がかかる可能性がありますので、ご了承ください。
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