婦人科がん

婦人科の悪性腫瘍“婦人科がん”について

婦人科の悪性腫瘍婦人科がんについて01
産婦人科では、主に子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんを治療しています。
(※乳がんの治療は、消化器・一般外科の乳腺外科部門が担当しています。)

当院では、手術療法、化学療法、放射線療法などの“がん”に対する集学的治療を行うことができます。“化学治療療法”、“抗がん剤治療”は、積極的に外来化学療法を行っており、日常生活をできるだけ維持しながら治療を続けることができます。
また、がんの疼痛に対しても、早期から痛みをとる緩和ケアを積極的に行っています。
当院は、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医修練施設であり、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医が4名います。また、年間約80例の新規症例の悪性腫瘍患者の治療を行っております。
悪性腫瘍新規症例数悪性腫瘍手術件数

子宮頸がん

早期がんに対しては超音波メスを用いた妊孕性温存可能な子宮頸部円錐切除術を行っています。
局所で進行したがんに対しては、術後リンパ浮腫の低軽減と膀胱神経温存をめざした広範子宮全摘術や、手術が難しい場合でも放射線化学療法同時併用治療による治療をしています。広汎子宮全摘術は年間10例をこえており、県内でも有数の施設となっています。
腹式広汎子宮全摘術件数
婦人科01
2018年4月から健康保険対象となりました子宮頸癌に対する腹腔鏡下手術の施設認定を取得しています。
施設要件があり県内でも数か所しか保険適応でこの手術を行うことはできません。
当院では婦人科腫瘍専門医が腹腔鏡技術認定医と共に手術を行い、術後は癌の専門医、修練医がフォローするため安心です。

子宮体がん

腹腔鏡手術への当院での取り組み・実績 実績03
当院は2014年4月から、健康保険の適用対象となった腹腔鏡下子宮体癌根治手術の保険適応施設となっています。
開腹手術と比べると切開創が小さく、術後の回復が早いという利点があります。
がんの手術は、その時の手術だけでなくその後の治療計画も重要です。
当院では、婦人科腫瘍専門医が内視鏡技術認定医とともに手術を行うため、最新の婦人科腫瘍学の知見に基づいて手術を行います。

また婦人科腫瘍専門医、修練医が術後のフォローを行うため、術後も安心して治療に臨むことが出来ます。
このような体制が整っている施設は、県内に数か所しかありません。
腹腔鏡下子宮体癌根治術件数

卵巣がん

良性か悪性かの術前診断が難しい卵巣腫瘍の場合は、術中の迅速病理診断により悪性手術を行うか手術中に決定することができます。手術と化学療法を組み合わせた集学的治療を行います。化学療法では適応があれば、分子標的薬のベバシズマブ(アバスチン®)の投与も行なっています。

リンパ節郭清について

術前評価によりリンパ節転移の可能性の低い方にはリンパ節郭清を省略する手術を検討しています。また、郭清を行った方については、リンパ浮腫発症に関する予防指導を行っています。なお、当科にはリンパ浮腫療法士の資格を持ったリンパ浮腫の専門家(医師)が在籍しており、リンパ浮腫を発症した患者さんに対してもリンパ浮腫外来でケアを行っています。

婦人科の悪性腫瘍婦人科がんについて04

リンパ浮腫とは

リンパ浮腫とは、リンパ管系の異常(輸送障害)によってリンパ液がうっ滞し、四肢や体幹の皮下組織に過剰に体液(組織間液=リンパ液)が貯留してむくみが生じた状態をいいます。発症の原因が確定していないものを原発性リンパ浮腫、リンパ節郭清を伴うがんの手術や、抗がん剤・放射線治療、外傷など後天的にリンパ管系が損傷し発症したものを続発性リンパ浮腫と言い、当科では術後に発症した続発性リンパ浮腫を診療対象としています。

リンパ管は全身に網目状に分布しています。毛細血管から組織間隙に漏出した組織間液がリンパ管に取り込まれるとリンパ液となり、全身循環に戻るよう運搬されます。このリンパ管が損傷されるとリンパ液が運搬されないため、組織間(皮下組織)にリンパ液がうっ滞しむくみが生じます。もともとリンパ管は多くの側副路を有しており、同じがんの手術を受けても、全員がリンパ浮腫を発症するわけではありません。

リンパ浮腫は、皮下組織の変化が少ない発症早期に治療を開始することが重要です(早期診断・早期治療開始)。リンパ浮腫治療の基本は日常生活指導、複合的理学療法を中心とした保存的治療(複合的治療)ですが、蜂窩織炎を繰り返す場合にはリンパ管—細静脈吻合術が有用な場合があります。
いずれにせよ、日常生活の中で注意すべきことをしっかりと守り、丁寧なセルフケアを行って以上の早期発見に努めることが重要です。異常が疑われたら、まずは主治医の先生にご相談ください。