腹腔鏡手術

お腹に4個所5~12mmの小さな穴をあけて行う手術です。手術を行う空間を作るため、お腹の中に炭酸ガスを注入します。麻酔は全身麻酔で行います。婦人科良性疾患の90%以上がこの方法で手術可能です。
腹腔鏡手術について

腹腔鏡手術のメリット

  1. 傷がとても小さいため整容性に優れており、また体へのダメージが少ないことから術後の痛みが軽減されるだけでなく、早期社会復帰も可能となります。
  2. お腹を開かないため、腹腔内癒着のリスクが軽減されます。それにより術後のトラブル(腹痛、癒着による不妊症、腸閉塞など)が起きにくくなります。
  3. カメラで手術部位に近づいて拡大視野で手術が可能です、血管などが鮮明に見えることで細かな手術が可能となります。

腹腔鏡手術のデメリット

  1. 一般的には開腹手術よりも手術時間が長くなります。
  2. 腹腔鏡手術特有な合併症(皮下気腫など)があります。
  3. 心肺機能の悪い方や高度肥満症例では合併症のリスクが高まります。

当院での取り組み・実績


以前より低侵襲手術に力を入れてきましたが、2021年4月よりロボット支援下手術を導入しました。当院は婦人科ロボット手術認定施設で、初期子宮体がん、子宮筋腫において保険適応での手術を提供しております。開腹手術と比較して、出血量は少なく入院期間も腹腔鏡手術と同じく約1週間と短期間です。手術の傷が小さいため術後の傷に痛みが少なく、手術創の美容性は大幅に向上します。ロボット支援下手術は3D画像下に内視鏡で見ながら細かく丁寧な手術操作をしますので、開腹手術や腹腔鏡手術よりさらに正確な操作が可能です。腹腔鏡手術では難易度が高く実施困難な手術も行うことが可能です。

取り組み

当院では数年前より腹腔鏡手術に力を入れております。安全と適応を順守することを心がけ手術を行っています。
腹腔鏡手術に対して不安をお持ちの方もいると思います。疑問点や不安な点などございましたら外来でお尋ねください。
ドライボックスでのトレーニング風景ドライボックスでのトレーニング風景

実績

日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医が二人在籍しています。症例数は年ごとに増加しています。当院での腹腔鏡手術数及び腹腔鏡下単純子宮全摘出術の年次推移を示します。腹腔鏡下手術(良性)件数腹腔鏡下単純子宮全摘件数腹腔鏡手術への当院での取り組み・実績 実績03婦人科01腹腔鏡手術への当院での取り組み・実績 実績04
がんの手術は、その時の手術だけでなくその後の治療計画も重要です。
当院では、婦人科腫瘍専門医が内視鏡技術認定医とともに手術を行うため、最新の婦人科腫瘍学の知見に基づいて手術を行います。また婦人科腫瘍専門医、修練医が術後のフォローを行うため、術後も安心して治療に臨むことが出来ます。
このような体制が整っている施設は、県内に数か所しかありません。


なお2014年4月より保険収載された腹腔鏡下子宮体癌手術および腹腔鏡下仙骨膣固定術、2018年4月より保険収載された腹腔鏡下子宮頸癌手術も行っております。適応などについては外来にてお尋ねください。