外科系診療センター 形成外科

診療科紹介

形成 門松診療科長
門松 香一
昭和大学の形成外科は1968年来、東京都品川区旗の台の昭和大学病院を拠点として成長を続けてきました。現在では昭和大学の附属病院すべてに形成外科を配置しております。
2017年10月1日付けでこの50年近く昭和大学病院を拠点としてきた歴史に終止符を打ち、新たな一歩を附属病院である藤が丘病院で踏み出しました。さらに、これまで形成外科内に存在していた唇裂口蓋裂センターも新たに昭和大学学長直属の機関として格上げされ「昭和大学口唇口蓋裂センター」としてこれも藤が丘を拠点として診療を開始しました。そして担当医師の増員をはかり患者さんには十分な医療が提供できるように充実させました。
これまで昭和大学病院で行ってきた診療はすべてここ昭和大学藤が丘病院で対応することとなります。この移動に伴いご不便をおかけすることも多々あると存じますが、当院形成外科すべての医師が一丸となり診療に当たらせていただきますので、皆様のご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

診療概要

形成外科の対象疾患は

  1. 腫瘍(皮膚・皮下組織の良性・悪性腫瘍、母斑、血管腫など)
  2. 外傷(顔面骨骨折、熱傷、瘢痕拘縮などを含む)
  3. 先天異常
  4. 美容

さらには、外傷後や腫瘍切除後の組織欠損などに対する再建も形成外科の重要な分野です。当形成外科講座には美容外科講座も含まれ、それぞれに教授を擁し、一般的な形成外科はもとより美容外科にも力を注いでおります。
年間外来患者総数は約18,000人、初診患者数は約3,000人にのぼり、年間手術件数は入院手術1,000件、外来手術500件前後、約600件のレーザー治療を行っています。
またスタッフ数も多く、疾患に応じてそれぞれを専門にした医師が治療を担当することが可能となっております。その水準については国内外から高い評価を頂いており、常時、国内外から数多くの留学者および見学者が施設を訪れています。
なお、手術に先立っては、患者さん一人一人を全医師で検討、ディスカッションし、最終的に最良の結果を得られるように治療方針を決定しています。また、形成外科は、他の多数の診療科やメディカルスタッフの方々の協力を要することが多く、特に、唇裂口蓋裂では後述のようなチーム医療が必要と考えます。そのため強固な連携を保ちながら、患者さんに最良の医療が受けられるよう心掛けています。

特徴的な診療領域

当科の最大の特徴は、昭和大学歯科病院を含めた「昭和大学唇裂口蓋裂診療班」を中心に、口唇口蓋裂患者さんに対して一貫したチーム医療を行ってきたことです。口唇口蓋裂は、年間150人以上の新規の患者さんを診療してきましたが、これは、本邦で毎年生まれる口唇口蓋裂児の約1/10に相当し、国内随一の診療規模を誇ります。「昭和大学唇裂口蓋裂診療班」は1980年に発足し、初回手術より治療を受けた唇裂口蓋裂の患者さんは、これまでに3,500人を超えており、小児科、耳鼻咽喉科、麻酔科、言語室、小児歯科、矯正歯科、補綴科、口腔衛生科、看護師、栄養士、医療福祉相談室等とチームを組み、協力し合いながら診療してきました。また当科では、海外での唇裂口蓋裂の医療支援事業にも積極的に参加しています。1995年から開始したネパール連邦共和国での医療協力を始め、アジア各国、中近東及びマダガスカル共和国で毎年50名以上の患者さんの手術を行ってきました。
これらの実績を携え、2017年10月1日より当院において「昭和大学口唇口蓋裂センター」が開設されました。

口唇口蓋裂以外にも、小耳症などの耳介変形、手足の先天異常、尿道下裂、頭蓋顎顔面形態異常、血管腫・血管奇形、母斑など、様々な先天性形態異常の患者さんを加療、手術します。さらに、乳腺外科や皮膚科、脳神経外科、耳鼻科咽喉科、消化器・一般外科等と連携し、悪性腫瘍の摘出や様々な疾患によって生じた組織欠損の再建手術も数多く手掛けます。特に最近は、乳房再建のシリコンインプラントに保険が適応されたこともあって、乳房再建手術も急増しており、インプラントや自家組織移植による乳房再建手術も積極的に行っていきます。

主な対象疾患

  1. 唇裂・口蓋裂
  2. 小耳症などの耳介変形を含む顔面の先天異常
  3. 眼瞼下垂症:特に加齢性の眼瞼下垂症は患者自身が諦めておられることが多いのですが、手術により視野が広くなって明るくなり、非常に喜ばれる手術です。その後のご本人の生甲斐を変えてしまうような手術ですので、是非ともお薦めします。視野が狭くなっている方は、保険適応です。
  4. 手足の先天異常
  5. 尿道下裂を含む小児の先天性形態異常
  6. 皮膚良性・悪性腫瘍(数ミリの粉瘤や血管腫、母斑などを含む)
  7. 顔面外傷(顔面骨骨折を含む)
  8. 瘢痕拘縮
  9. 熱傷を含む体表面の外傷
  10. 再建外科(他科での腫瘍切除後の再建や乳房再建を含む。特に乳房再建は最近急増しています)
  11. 顔面神経麻痺の再建
  12. 下肢静脈瘤
  13. その他、体表面の気になられることなら何でも。スタッフが多いため、形成・美容外科のほとんどに対応できる体制になっています。どんな小さなものでも、傷や形、色の変化などをきれいにすることを目指しています。

スタッフ紹介

医師名
役職
専門分野
資格
門松 香一
教授
診療科長
 
一般形成外科
美容外科
日本形成外科専門医
皮膚腫瘍外科分野指導医
小児形成外科分野指導医
再建・マイクロサージャリー分野指導医
レーザー分野指導医
日本創傷外科学会専門医
日本抗加齢医学会専門医
日本臨床皮膚外科学会認定医
乳房再建エキスパンダー・インプラント責任医師
乳房増大エキスパンダー・インプラント実施医師
大久保 文雄
教授一般形成外科
美容外科
日本形成外科学会専門医
皮膚腫瘍外科分野指導医
小児形成外科分野指導医
佐藤 伸弘
准教授
診療科長補佐
一般形成外科
美容外科
日本形成外科専門医
日本形成外科学会形成外科領域指導医
皮膚腫瘍外科分野指導医
小児形成外科分野指導医
再建・マイクロサージャリー分野指導医
レーザー分野指導医
日本美容外科学会専門医
日本創傷外科学会専門医
日本口蓋裂学会口唇裂・口蓋裂認定師(形成外科分野)
日本美容医療協会美容医療適正レーザー認定医
乳房増大エキスパンダー・インプラント実施医師
小島 康孝助教
一般形成外科
眼形成眼窩外科
日本形成外科専門医
西村 怜助教一般形成外科日本形成外科専門医
沖野 尚秀助教一般形成外科日本形成外科専門医
小笹 俊彦助教(病院直属)一般形成外科日本形成外科専門医
中原 真理助教(病院直属)一般形成外科日本形成外科専門医
岡嶋 梨央助教(医科)一般形成外科
松浦 聡司
大学院生一般形成外科

新井 昂佑
助教(医科)
一般形成外科

井上 由理
助教(医科)
一般形成外科

黒木 綾人
助教(医科)
一般形成外科

又吉 純哉
助教(医科)
一般形成外科

松本 由愛
助教(医科)
一般形成外科

外来担当医表

外科系診療センター 形成外科

医療従事者の⽅へ

研究内容

(1)口唇口蓋裂
特殊な装置および技術を用いた術前顎矯正法(PNAM)治療による経過および結果の検討
3D計測機器を用いた、口唇形態の評価、定量
(2)乳房再建
3D計測機器を用いた、乳房再建術前後の乳房の形態評価、定量
(3)レーザー
各種レーザー治療効果の病理組織学的、組織工学的検討
(4)顔面骨骨折
顔面骨骨折における固定材料(非吸収性および各種吸収性プレート)の術後成績の比較検討
(5)皮弁
マイクロサージャリーを用いた新しい皮弁の開発
皮弁生着範囲の評価、定量
(6)瘢痕およびケロイド
組織拡張器を用いた際の皮膚の組織学的、物理学的変化の検討
ケロイドの遺伝子解析
(7)血管腫・血管奇形
レーザー、硬化療法、血管新生抑制剤および降圧薬による効果の判定

その他、様々な疾患に対して、各治療法の効果の検討を行っております。

医療連携・紹介制度について

当科は、諸先生方のご紹介により成り立っております。どのような小さな疾患、傷、腫瘍でも結構ですので、ご紹介頂けましたら有り難く存じます。身体外表の疾患で、外科的あるいはレーザーやスキンケア等で治療できるような疾患でしたら何でも結構です。当科の対象疾患であるかどうか不明の場合は、お気軽に外来にお問い合わせ下さい。また、外来手術後から抜糸までの間、紹介元の先生方で創処置をして頂けるようでしたら、その旨、紹介状にお書き頂きますと幸いです。
一般形成外科