小児外科

診療科紹介

成人領域で外科と内科があるように、小児領域にも外科と内科があります。その中で外科を担当しているのが小児外科です。近年医療技術の進歩に伴い、出生前診断が可能となり、胎児期より治療が出来るようになりました。昭和大学病院では、胎児期から出生後までの一貫した新生児医療を行うために、産科(周産期科)、新生児科、小児外科が一体となって科の垣根を越えたチーム医療を行っています。また、小児医療センターとして、小児外科および小児内科が、同様にチーム医療を重視した診療を行っています。小児外科は、すべての器質的疾患の治療にあたり腹腔鏡手術を中心とした低侵襲で整容性を考慮した治療を目指しています。
DSC09943(渡井)_加工済診療科長
渡井 有

診療体制

小児外科は、昭和大学の3つの病院(昭和大学病院、横浜市北部病院、江東豊洲病院)があり、これらの病院が常に横の連携を重視し、まとまった1つの小児外科診療グループとして患者に対応しています。また、スタッフ全員で患者さんを把握して診ていくという方針で診療に当たり、24時間体制で診療に従事しています。
手術は胸腔鏡・腹腔鏡を中心とした手術をおこなっています。

診療方針

〇小児内視鏡手術
鼠径ヘルニア・急性虫垂炎はもとより嚢胞性肺疾患やヒルシュスプルング病・鎖肛に対しては細径鉗子をもちいた胸腔鏡・腹腔鏡手術を行っています。

〇新生児低侵襲手術
赤ちゃんや出生前診断されたお子さんの手術を臍部を用いた切開法で傷の目立たない手術を行います。

〇成人期移行期診療
小児期に外科手術を受けられた成人の方のフォローアップ、小児から治療継続されている方の診療も行います。

〇保存的療法
乳児期早期のでべそでは圧迫療法が整容性にすぐれるため外来での加療をお勧めしています。
乳児期の目立つ部位や大きな血管腫に対してもヘマンジオルシロップを使用しています。

特徴的な診療領域

小児外科は生まれて成長するまでのすべての外科領域を受け持っています。新生児、乳児、学童それぞれに年齢特有の疾患があります。例えば、新生児では先天性疾患、学童では後天性疾患などです。それらの疾患に対して、専門的な知識を持って診療を行っています。

主な対象疾患

  • 呼吸器疾患(嚢胞性肺疾患、横隔膜ヘルニア、肺分画症など)
  • 消化管疾患(壊死性腸炎、食道閉鎖症、腸閉鎖症、直腸肛門疾患、ヒルシュスプルング病、腸回転異常症、肥厚性幽門狭窄症など)
  • 体表疾患(鼠径ヘルニア、臍ヘルニア、臍帯ヘルニア、リンパ管腫、血管腫など)
  • 肝・胆道疾患(胆道閉鎖症、胆道拡張症など)
  • 泌尿器疾患(腎盂尿管移行部狭窄症、膀胱尿管逆流症など)
  • 固形腫瘍(神経芽腫、肝芽腫、腎芽腫、奇形腫など)
  • 日常疾患(乳児痔瘻、腸重積症、急性虫垂炎、異物誤嚥・誤飲、胸腹部外傷、便秘など)

より細かな診療内容や特色の詳細

急性虫垂炎は全例腹腔鏡下手術を行っていますが鼠径ヘルニアでは年齢と安全性を考慮して鼠径法と腹腔鏡の2つの方法を使い分けて手術しています。

スタッフ紹介

医師名
役職
専門分野
資格
渡井 有教授小児外科一般、新生児、腹腔鏡手術、ヒルシュスプルング病、胆道閉鎖症、胆道拡張症日本外科学会専門医・指導医
日本小児外科学会専門医・指導医
日本周産期・新生児学会認定外科医
日本小児救急学会認定医
佐藤 英章准教授小児外科一般
新生児
小児泌尿器外科
日本外科学会専門医・指導医
日本小児外科学会専門医・指導医
PAPS (Pacific Association of Pediatric Surgeons) member
中山 智理講師
外来医長
小児外科一般
新生児
小児泌尿器外科
日本外科学会専門医・指導医
日本小児外科学会専門医
田山 愛講師
病棟医長
小児外科一般
新生児
日本外科学会専門医
日本小児外科学会専門医
大澤 俊亮
講師
診療科長補佐
小児外科一般
新生児
日本外科学会専門医
日本小児外科学会専門医
福永 奈津助教小児外科一般
新生児
日本外科学会専門医
木村 翔大助教(医科)小児外科一般
安達 聖助教(医科)
小児外科一般

富永 美璃助教(医科)
小児外科一般
土岐 彰客員教授小児外科一般、新生児、胆道拡張症、直腸肛門奇形、漏斗胸、泌尿器疾患、栄養障害など日本小児外科学会専門医・指導医、日本外科学会認定医・指導医、日本胸部外科学会認定医、日本消化器外科学会認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本静脈経腸栄養学会指導医
千葉 正博
兼担准教授
小児外科一般、新生児、小児泌尿器、短腸症候群
日本小児外科学会専門医・指導医、日本外科学会専門医・指導医、日本静脈経腸栄養学会指導医

外来担当医表

小児外科

医療従事者の方へ

研究内容

我々の診療に対する理念は、いかに患児および家族のニーズに応えられるかを追及することであり、腹腔鏡・胸腔鏡を積極的に使用し外科的侵襲を最小限にとどめた治療を目指しています。また、小児にとってハンディーキャップとなる手術創は整容性に十分配慮しつつ根治性も損なわれない手術を行っています。小児の器質的疾患を中心に外科の立場から小児医療に少しでもお役に立てればと考えています。地域の先生方と連携をとり、一緒に診療を行いたいと考えています。

診療実績

外来患者数

月曜日から土曜日まで毎日外来診療を行っていますが、緊急時・臨時には随時対応します。外来数年間約3,000人の外来患者さんがいらっしゃいます。

入院患者数

年間約250−300人の入院患者さんが手術以外にも検査、保存的療法のため入院されます。

手術実績

年間約230−250件の胸部・腹部を中心とした腹腔鏡手術・胸腔鏡手術・開腹手術いずれの手術も行っています。

〇2021年度 主な手術実績
ヘルニア手術(鼠径ヘルニア、臍ヘルニア)、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術、交通性陰嚢水腫手術、横隔膜ヘルニア手術、臍帯ヘルニア手術、粘膜外幽門筋切開術、腹腔鏡下虫垂切除術、腸閉鎖症手術、腸回転異常症手術、ヒルシュスプルング病手術、総胆管拡張症手術、腹腔鏡下鎖肛手術(腹会陰式、腹仙骨式)、鎖肛手術(会陰式)、膵尾部腫瘍切除術、副腎腫瘍摘出術、腹腔鏡下脾臓摘出術、気管切開術、腹腔鏡下胃瘻造設術、中心静脈カテーテル挿入術、皮下腫瘍摘出術、甲状舌管嚢胞摘出術、食道狭窄拡張術、膀胱尿管逆流手術、腹腔鏡下腹腔内停留精巣固定術・停留精巣固定術、精巣摘出術・精索捻転手術、卵巣捻転手術など

○2022年度 主な手術実績
ヘルニア手術(鼠径ヘルニア、臍ヘルニア)、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術、交通性陰嚢水腫手術、臍帯ヘルニア手術、腹腔鏡下食道アカラシア手術、粘膜外幽門筋切開術、腹腔鏡下虫垂切除術、腸閉鎖症手術、腸閉塞症手術、腸回転異常症手術、腸管重複症手術、メッケル憩室切除術、鎖肛手術(仙骨会陰式)、胆道閉鎖症手術、総胆管拡張症手術、後腹膜腫瘍摘出術、気管切開術、腹腔鏡下胃瘻造設術、中心静脈カテーテル挿入術、リンパ管腫硬化療法、皮下腫瘍摘出術、甲状舌管嚢胞摘出術、肺葉切除術、腎盂形成術、膀胱尿管逆流手術、腹腔鏡下腹腔内停留精巣固定術・停留精巣固定術、精巣腫瘍手術、精巣摘出術、精巣捻転手術など

○2023年度上半期 主な手術実績
ヘルニア手術(鼠径ヘルニア、臍ヘルニア)、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術、交通性陰嚢水腫手術、粘膜外幽門筋切開術、腹腔鏡下虫垂切除術、腸閉塞症手術、腸回転異常症手術、腸管重複症手術、腸重積症手術、腹腔鏡下巨大結腸症手術、気管切開術、腹腔鏡下胃瘻造設術、中心静脈カテーテル挿入術、皮下腫瘍摘出術、肺葉切除術、人工肛門造設術、人工肛門閉鎖術、膀胱尿管逆流手術、膀胱腫瘍切除術、腹腔鏡補助下卵巣腫瘍摘出術 、腹腔鏡下腹腔内停留精巣固定術・停留精巣固定術、精巣摘出術、精巣捻転手術など

入院疾患別実績

〇出生前疾患・新生児外科疾患(食道閉鎖症・先天性十二指腸閉鎖症・小腸閉鎖症・壊死性腸炎・鎖肛)
〇乳幼児外科疾患(ヒルシュスプルング病・鎖肛)
〇呼吸器疾患(嚢胞性肺疾患、横隔膜ヘルニア、肺分画症など)
〇消化管疾患(食道閉鎖症、腸閉鎖症、直腸肛門疾患、ヒルシュスプルング病、腸回転異常症、肥厚性幽門狭窄症など)
〇体表疾患(鼠径ヘルニア、臍ヘルニア、臍帯ヘルニア、リンパ管腫、血管腫など)
〇肝・胆道疾患(胆道閉鎖症、胆道拡張症など)
〇泌尿器疾患(腎盂尿管移行部狭窄症、膀胱尿管逆流症など)
〇日常疾患(乳児痔瘻、腸重積症、急性虫垂炎、異物誤嚥・誤飲、胸腹部外傷、便秘など)

 その他、短腸症候群など小児の胸部・腹部疾患を中心に年間220−240件の入院があります。

医療連携・紹介制度について

我々の診療に対する理念は、いかに患児および家族のニーズに応えられるかを追及することであり、外科的侵襲を最小限にとどめた治療を目指しています。また、小児にとってハンディーキャップとなる手術創は整容性に十分配慮する必要があることを強調してきました。今後もこのスタンスを変えることなく診療に当たりたいと考えています。外科の立場から小児医療に少しでもお役に立てればと考えています。地域の先生方と連携をとり、一緒に診療を行いたいと考えています。