循環器センター 心臓血管外科

診療科紹介

心臓血管外科 田中診療科長
田中 弘之
昭和大学藤が丘病院心臓血管外科は虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、弁膜症、大動脈疾患に代表される成人心臓疾患から各種末梢血管疾患(動脈疾患:腹部大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症など、静脈疾患:静脈血栓症、下肢静脈瘤など)まで扱っております。

循環器内科、救命センターとも密接に連携し治療にあたっています。さらに最近は慢性腎不全、糖尿病合併患者さんが多くなり腎臓内科(腎不全合併例)、内分泌内科(糖尿病合併例)、形成外科(下肢の末梢血管疾患による壊死、感染合併例)とも連携しております。

当科の心臓手術数は開心術を始めた平成9年から平成21年度までに累計1000例を越え(80-100例/年)、末梢血管手術数は1500例(130-150例/年)です。心臓疾患の内訳は主に虚血性心疾患に対する手術が65%、弁膜症25%、胸部大動脈瘤が10%前後です。末梢血管疾患は腹部大動脈瘤30%弱、下肢動脈バイパス術が45%となっております。

当科は、2014年5月に、日本ステントグラフト実施基準管理委員会より、腹部ステントグラフト実施施設および胸部ステントグラフト実施施設に認定されました。

主な対象疾患

1.虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)に対する手術

心筋を栄養する冠動脈がつまるためにおこる狭心症、心筋梗塞を治療します。当科では循環器内科と毎週合同カンファレンスをもち、各患者さんの病態に合わせて内科的な薬物療法、カテーテル治療(風船療法)と外科的手術治療を選択しています。
具体的な手術内容として、つまった血管に対する冠動脈バイパス術(CABG)と心筋梗塞に陥りうまく動かなくなった心臓壁への左室形成術、弁逆流を止める弁形成術などがあります。冠動脈バイパス術は,体の別のところから血管をもってきて、つまった心臓の血管につなぎます。従来は人工心肺を用い心臓の拍動を停止して行ってきましたが,最近では手術侵襲を軽減するため人工心肺を用いず、心拍動下で行う心拍動下冠動脈バイパス術を主に行っています。一緒に弁の手術や左室形成、緊急手術で最初から補助循環として人工心肺装置がついていなければほぼ100%の患者さんに可能だと考えています。術後バイパス血管開存率は約97%です。また心不全がひどくなって心臓移植の1歩手前の患者さんには上記バイパス手術に加え左室形成術などを施行しています。
心臓血管外科01
心臓血管外科02

2.弁膜症に対する手術

心臓は左右の心房と左右の心室の4つの部屋に分かれ、2本の血液の出口である大動脈と肺動脈がついています。その中を血液がスムーズに流れるために4つの弁(大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、肺動脈弁)がついています。弁が狭くなったり、逆流がひどくなると手術治療が必要となります。
手術には人工弁置換術、弁形成術の2つがあります。人工弁には機械弁と生体弁があり、それぞれ長所と短所があります。機械弁は長持ちしますが、人工弁での血栓形成を防ぐための抗凝固療法(ワーファリンの内服)が必要です。生体弁は機械弁と逆の特徴をもちます。人工弁の選択は、患者さんの年齢、希望を考慮し決定しています。弁形成術は自分の弁を残し修理するもので、両者の長所を兼ね備えています。僧帽弁閉鎖不全症の大部分、僧帽弁狭窄症の弁病変が石のようになっていないもの、若年者の大動脈瘤を伴う大動脈弁閉鎖不全症の患者さんに形成術を行っています。また僧帽弁膜症の患者さんでは心房細動という不整脈が高率に合併しています。これに対しても心臓のなかの電気の流れを整えるメイズ手術を同時に行っています。
心臓血管外科04

3.胸部大動脈瘤

心臓血管外科04
心臓から各臓器に血液を運ぶ元となる一番太い血管が胸部大動脈です。この血管が動脈硬化や炎症などで傷つきこぶ状に膨らむのが大動脈瘤です。この大動脈瘤は大きくなると破裂の危険しやすくなります。それで破裂の前に人工血管に代える人工血管置換術が必要となります。また大動脈解離といって血管が縦に裂けて急死する病気もあります。いずれにしろ腹部大動脈以下の場所では瘤の上流と下流で血流を遮断さえすれば手術が可能ですが、胸部大動脈では心臓、頭、背椎、腹部臓器を保護しつつ手術を行わなければなりません。そのため人工心肺装置からたこ足のように送血路をだした脳分離体外循環法や体温を18℃まで下げて臓器保護をする超低体温循環停止法などさまざま手段を駆使して手術を行います。
最近は開胸しないで小さく縮めた人工血管をカテーテルで運んで、病的血管に置いてくるステントグラフト治療も始めました。手術に耐えられそうもない全身状態で、動脈瘤の形、部位的に許せばよい治療です。
平成26年年5月より、腹部ステントグラフト実施施設および胸部ステントグラフト実施施設に認定されました。

4.末梢血管

最近は画像診断の進歩で腹部大動脈瘤、その末梢の腸骨動脈瘤が増えています。開腹して瘤切除、人工血管置換術が標準術式ですが、胸部と同様ここでもいくつかの条件が整えばステントグラフト挿入術が行われます。
また、足の動脈がつまってしまう閉塞性動脈硬化症という病気も増えています。当院では、循環器内科での血管内治療、形成外科での植皮術など各科が連携して治療に当たっています。
足の静脈がこぶ状に出てくる下肢静脈瘤という病気もあります。当科では原則的に入院、全身麻酔下での手術治療を行っています。

スタッフ紹介

医師名
役職
専門分野
資格
田中 弘之田中 弘之
教授
心臓血管外科
日本外科学会指導医
日本胸部外科学会指導医
日本外科学会専門医
日本心臓血管外科学会専門医
日本胸部外科学会評議員
日本血管外科学会評議員
日本冠動脈外科学会評議員
胸部ステントグラフト実施医・指導医
腹部ステントグラフト実施医・指導医
門脇 輔助教心臓血管外科日本外科学会専門医
日本胸部外科学会専門医
日本心臓血管外科学会専門医
日本血管外科学会専門医
饗場 正宏
非常勤講師
心臓血管外科
日本心臓血管外科学会専門医
胸部、腹部ステントグラフト実施医
内川 伸
非常勤講師
心臓血管外科
日本心臓血管外科学会専門医
成澤 隆
非常勤講師
心臓血管外科
日本心臓血管外科学会専門医

外来担当医表

循環器センター 心臓血管外科

医療従事者の⽅へ

研究内容

術前並存疾患の多い患者さん(特に血液透析)に対する外科治療
安全効率的な体外循環法
より安全確実な心筋保護法

などの臨床研究を行っています。

医療連携・紹介制度について

当科では心拍動下冠動脈バイパス術など低侵襲な外科的治療を進めてまいりました。
開心術は原則週2件で、年間100件前後を施行しております。
その他、血管手術を適時行っております。
最近は慢性腎不全の血液透析をしている重症な患者さんの開心術が極めて多くなっておりますが、良好な成績をおさめております。
また、循環器内科、リハビリ病院とも綿密な関係を保ち、手術によらない治療、あるいは術後の心臓リハビリなど患者さんの満足度の高い医療サービスを提供しております。
以上の治療を経て、ご紹介いただいた病院へ元気になった患者さんをお返しできるよう診療にはげんでおります。