外科学講座 心臓血管外科学部門・呼吸器外科学部門

講座紹介

昭和大学医学部は外科系講座を統合して外科学講座とし、わたくしどもは心臓血管外科学部門および呼吸器外科学部門として新しい一歩を踏み出します。

心臓血管外科学部門

2012年10月から赴任しました。私は、成人心臓血管外科および大動脈疾患に対する低新種治療であるステントグラフト治療を専門としています。

成人心臓血管外科は、弁膜症に対する治療と虚血性心疾患に対する手術が主体となります。弁膜症手術の中で、僧帽弁疾患に対しては、生涯にわたる抗凝固療法(血液が固まりにくくする治療)が不要である僧帽弁形成術を第一選択として行い、大動脈弁疾患に対しては、年齢や各患者さんの状態から、抗凝固療法が不要な生体弁を選択するか、長期の耐久性が期待できる機械弁を選択しています。冠動脈バイパス手術では、体に対する負担が少ないと考えられる心臓を止めない心拍動下バイパス手術が98%以上となっています。

大動脈疾患に対しては、手術の負担が大きい事から、ステントグラフトという特殊な人工血管を足の付け根の動脈から挿入して治療を行う血管内治療を行ってきました。世界で始めてこの治療が行われたのは、1991年ですが、1995年からこの治療に携わっています。5年前から、企業性の性能の良いステントグラフトが日本でも使用出来るようになり、体に対する負担が少ない治療法として急速に普及しています。

今後、心臓血管外科のスタッフが一丸となり、心臓血管外科に入院された方は、例外なく元気になって退院して頂ける病院となるように努力して参ります。

外科学講座 心臓血管外科部門 教授 青木 淳

呼吸器外科学部門

昭和大学医学部呼吸器外科では、1970年代以前に主体であった肺結核に対する外科治療に代わり、肺癌や転移性肺腫瘍などの胸部悪性腫瘍や、若年男性に多く見られる自然気胸、さらに最近増加の傾向を示している胸膜腫瘍(胸膜中皮腫)、胸壁腫瘍などに対する手術を中心に外科治療を行ってまいりました。

また、現在では開胸手術に並んで汎用されるアプローチ方法となった内視鏡手術(胸腔鏡手術:Video-assisted Thoracic Surgery, VATS)を1993年から開始し、2013年までに完全鏡視下手術を1000例以上手掛けました。また、肺悪性腫瘍だけでなく縦隔腫瘍や胸膜・胸壁疾患、胸部外傷などに対しても胸腔鏡手術を取り入れ、小開胸を併用する場合でも皮膚切開創の短縮など美容的観点や、術後創痛の軽減に効果を発揮しております。

当呼吸器外科は呼吸器内科とともに「呼吸器センター」を運用し、さらに腫瘍内科、放射線科、リハビリテーション科などと連携を密に保ちながら、肺癌を中心とする胸部悪性腫瘍に対する集学的治療を積極的に取り入れ、術前や術後化学療法・放射線療法の施行や、術前呼吸リハビリテーションの積極的な導入によって術後肺炎などの合併症を皆無とする努力を継続し、治療成績の向上に努力しております。なお、全身状態や切除根治性などを考慮した上で、拡大手術(胸壁合併切除や大動脈合併切除など)も積極的に取り組んでおります。

また、昭和大学には旗の台の昭和大学病院に加えて藤が丘病院・横浜市北部病院・江東豊洲病院などの附属病院があり、これらの病院やその関連施設で働く医師・メディカルスタッフとともに「昭和大学呼吸器外科グループ」として治療成績の向上を目指した症例検討会や、内科・外科を問わず種々の疾患に精通する医師の育成など、当グループが挑戦すべき課題を浮き彫りにするための勉強会を定期的に開催しております。

なお、大学病院という性格上、常に研修医や医学部学生の存在を意識した行動が必要となりますが、病院における診療は患者さんが中心であります。それぞれの方が最良の医療を受けるべく身を委ねて来院されているため、治療方針の決定には病理診断科、麻酔科、関連各科医師、看護師、さらには栄養士、理学療法士や医療福祉士などからも意見を求め、最終的には患者さんご本人やご家族との面談で十分に相談をいたします。その上で、患者さんの信頼に答えて満足いただけるような医療の提供を心掛け、さらにそういった治療方針の選択や診療内容を提供できるような医療人の育成を目指しております。
外科学講座 呼吸器外科学部門 教授 門倉 光隆

沿革

当外科学教室は昭和5年に昭和医学専門学校の附属病院を開設するに伴い、故石井吉五郎教授率いる外科学教室が誕生しました。その後時代の変遷により外科学教室の中に胸部心臓血管外科部門(故・元学長の石井淳一教授主宰)が設立されました。この部門は一般・消化器外科部門と比べて新しい分野ではありましたが、人工心肺装置を用いた本格的な初の心臓手術は昭和35年に開始し、本邦においては早期に心臓外科手術に着手した施設の一つといえます。

その後、高場利博・現名誉教授が主任教授として教室運営にあたり、手取屋岳夫教授を経て、現在の青木 淳へと引き継がれ、心臓血管外科部門の拡充・発展に邁進しています。また、以前胸部外科の中でも小分野とされた呼吸器外科の対象疾患は肺結核が主体でありましたが、昭和50年以降は肺結核手術に代わって、喫煙や大気汚染を原因とする肺癌の増加によりそれらの手術や、縦隔腫瘍などを含む悪性疾患に対する手術が呼吸器外科の中心となっています。また、比較的若い男性にみられる自然気胸の手術も多く、その他様々な呼吸器疾患に対する外科手術を扱っています。

なお、平成8年には外科学教室から第一外科学教室と名前を変更し、その専門分野も「心臓血管外科」ならびに「呼吸器外科」としました。その後、平成20年4月から昭和大学講座再編による外科学講座(大外科講座制)導入によって、外科学講座・胸部心臓血管外科学部門(診療科目:心臓血管外科・呼吸器外科)となりましたが、平成24年11月に心臓血管外科学部門と呼吸器外科学部門に再編されました。

講座員

専任教員(心臓血管外科学部門)

役職氏名name
教授青木 淳Aoki Atsushi
准教授尾本 正Omoto Tadashi
講師丸田 一人Maruta Kazuto
助教益田 智章Masuda Tomoaki

専任教員(呼吸器外科学部門)

役職氏名name
教授門倉 光隆Mitsutaka Kadokura
教授武井 秀史Hidefumi Takei
特任教授鈴木 隆Takashi Suzuki
准教授山本 滋Shigeru Yamamoto
講師片岡 大輔Daisuke Kataoka
講師遠藤 哲哉Tetsuya Endo
講師植松 秀護Syugo Uematsu
助教南方 孝夫Takao Minakata
助教新谷 裕美子Yumiko Niiya