心臓血管外科

診療科紹介

当科は成人の心臓病、大血管および末梢血管疾患を対象に外科診療を行っています。狭心症に対して心臓を止めないオフポンプ冠動脈バイパス手術、弁膜症に対する弁形成術や人工弁置換術、胸部や腹部の大動脈瘤に対する人工血管置換術やステントグラフト内挿術、最近増加傾向にある閉塞性動脈硬化症に対するバイパス手術など様々な手術を行っています。また循環器内科と大動脈弁狭窄症に対するカテーテル治療(経カテーテル大動脈弁移植術:TAVI)も積極的に行っています。
DSC03649(心外・青木)_加工済診療科長
青木 淳

診療体制

スタッフ4名(心臓血管外科専門医4名)体制で診療にあたっています。当科に受診される患者の多くは他の病気にもかかられていることが多く、他科との連携を充実させることにより手術のリスクを低くするように心がけております。また心臓血管外科は病診連携が非常に重要な科であり、手術を終えてしばらくした患者でも、かかりつけ医、あるいは近隣の総合病院との情報交換により術後の患者の健康を確認できる体制を作っていくように心がけております。

治療方針

安全確実な手術、リスクの低い手術、将来に心配をなるべく残さない手術を心がけております。術前に外来などで十分に納得されたうえで手術を受けられるように努めております。

特徴的な診療領域

冠動脈疾患、弁膜症、大動脈疾患、末梢血管疾患といった成人心臓血管外科領域を中心に診療しています。僧帽弁疾患に対しては、自己弁を温存する弁形成術を主に行っています。また大動脈瘤に対しては開胸・開腹を行わないステントグラフト治療を取り入れ、症例に応じて従来の開胸・開腹手術との利点・欠点を十分に説明し、理解していただいたうえで選択しています。

主な対象疾患

体にやさしい心臓弁膜症手術

経カテーテル大動脈弁移植術 TAVI

心臓の病気の一種である心臓弁膜症には、様々な病気がありますが、心臓から全身に血液を送る大動脈の付け根にある大動脈弁が固くなる大動脈弁狭窄症という病気があります。
近年、動脈硬化や老化現象が原因で大動脈弁狭窄症になる方が増加しています。
大動脈弁狭窄症に対しては、人工心肺という特殊な機械を使用して心臓を停止させて、大動脈弁を切除し人工弁で取り換える大動脈弁置換術という手術が従来行われてきましたが、高齢者や体力の弱った方に対しては、体への負担が大きいため、この手術ができないことがありました。そのため、体に対する負担が少ない新しい手術として、経カテーテル大動脈弁移植術(TAVIと言います)が開発され、我々の施設でも2015年12月より治療を開始しています。

専⾨外来

心臓血管外科

診療実績


心臓血管外科手術症例数

2022年2023年
開心術(開胸手術総数)
49
51
冠動脈バイパス術(併施含)12
15
 心拍動下冠動脈バイパス術3
5
弁膜症手術総数75
81
 大動脈弁置換術27
24
 僧帽弁形成術8
8
 僧帽弁置換術98
 経カテーテル大動脈弁移植術(TAVI)36
42
胸部大動脈手術総数2926
 人工血管置換術4
5
 胸部ステントグラフト内挿術25
21
腹部大動脈手術総数3034
 人工血管置換術4
9
 腹部ステントグラフト内挿術2625
末梢血管手術13
23
ECMO抜去2514
Impella外科的挿入35
他科手術応援712
手術総数178171
                                同時施行手術は各々カウントしています

スタッフ紹介

医師名役職専門分野資格
青木 淳教授成人心臓外科、大動脈外科、大動脈血管内治療心臓血管外科専門医、日本胸部外科学会指導医、日本外科学会指導医、外科専門医、循環器専門医、脈管専門医、胸部・腹部ステントグラフト指導医、経カテーテル大動脈弁置換術指導医、Mulu Raflesia Heart Valve Symposium, Program Director、The Society of the Thoracic Surgeons, Member
尾本 正准教授成人心臓外科、大動脈外科心臓血管外科専門医、日本外科学会専門医、脈管専門医、
丸田 一人講師成人心臓外科、大動脈外科、大動脈血管内治療心臓血管外科専門医、日本外科学会専門医、脈管専門医、胸部・腹部ステントグラフト指導医、経カテーテル大動脈弁置換術指導医、
益田 智章助教成人心臓外科、大動脈外科、大動脈血管内治療心臓血管外科専門医、日本外科学会専門医、胸部・腹部ステントグラフト実施医、経カテーテル大動脈弁置換術実施医、
小沢 敦兼任講師末梢血管外科日本外科学会認定医、日本胸部外科学会認定医、麻酔科標榜医

外来担当医表

心臓血管外科

医療従事者の⽅へ

研究内容

  1. 胸部瘤に対する新しいステント治療法の開発
  2. 開心術周術期における心房細動予防に関する検討
  3. 低侵襲僧帽弁形成術
  4. ステントグラフト治療おけるステロイドによる炎症抑制効果
  5. ステントグラフト治療におけるスタチン強化療法の有用性

紹介医療機関の先生方へ

ご紹介いただく際には診療情報提供書のご記入をお願いいたします。手術適応など不明瞭な症例でも、気兼ねなくご紹介いただいて結構です。精査のうえできちんと病状等をご説明いたします。緊急性のある患者につきましては、24時間体制で対応いたしますので、何時でもお電話いただければ幸いです。なお手術後急性期を乗り越えた患者は原則かかりつけ医にお戻ししていますので、ご協力をお願いいたします。