整形外科学講座

講座紹介

工藤先生-2
昭和大学 医学部 整形外科
主任教授 工藤 理史

2023年4月1日より昭和大学整形外科学講座主任教授を拝命致しました工藤理史(くどうよしふみ)です。当講座は開校以来95年という非常に長い歴史があり、私で8代目の教授となります。総勢130名を超える医局員が所属しており、4つの大学附属病院をはじめ多くの関連病院に医局員を派遣しています。また、全国でご活躍の同門の先生方も300名を優に超える大きなネットワークを持っている医局です。この様な長い歴史と伝統がある講座の主任教授を拝命し、身の引き締まる思いです。

2001年に入局し、基礎の大学院を経て福島県、千葉県の3次救急を扱う外傷病院をはじめ関連病院にて研鑽を積み、2010年に大学に帰局しました。その後は専門である脊椎脊髄疾患の治療と研究、そして学生や後輩医師の育成に従事して参りました。私のモットーは『徹底的に外科医であること』です。もちろん正確な診断や保存治療が大事であることは言うまでもありませんが、自らが持つ最大限の技術を投入し、常に全力で治療に当たる事が出来る外科医でありたいと思い今日まで邁進してきました。

我々大学病院の使命として難治疾患や重症例に対する最後の砦という役割があると思います。また、単に治療をするだけでなく技術を後輩に継承していくことや、その治療成績や問題点を外科医の視点から広く世に発信していくということも大学病院としての大事な使命と考えています。昭和大学病院整形外科は年間に1300件、4附属病院合計では年間6000件を超える手術を毎年安全に行っており、非常に臨床力に長けた大学であると自負しています。この豊富な臨床力を生かして熱い思いを持ったたくさんのAcademic surgeonを育成し、昭和大学整形外科を大きく発展させていきたいと思います。

1. スポーツ医学

オリンピック選手のようなトップアスリートに関節鏡視下や最小侵襲で手術を行うことにより早期にスポーツ復帰が可能になりました。野球肘や靱帯損傷、サッカー選手の膝の靱帯損傷や障害がこれらの対象になります。われわれの教室ではWBCをはじめとした野球、サッカー、プロテニスプレーヤー、アイスホッケーなどナショナルチームドクターとして活躍しています。

2. 人工関節

関節リウマチや年齢に伴う変形性の股関節症や膝関節症に人工関節を行い20年以上の長期にわたり成績が安定するようになりました。近年、さらに肘関節や肩関節、足関節、手指の関節にもデザインと素材に優れた人工関節が出てきています。股関節や膝関節ほどの歴史はまだありませんが、肘関節は15年の安定した成績がでてきました。また、股関節や膝関節ではセメントを使わずに小切開で手術後、早期に歩行訓練や関節を動かす訓練が可能となりました。

3. 再生医学

再生医療、遺伝子治療の進歩により骨・軟骨の再生や筋・腱、神経の再生に関することがわかってきています。まだ研究の段階ですが近いうちに臨床応用される骨髄幹細胞から分離した細胞の移植による再生療法により、今まで行われてきた手の外科領域の血管付き骨移植による骨再生や、股関節や膝関節の骨切り術に伴う軟骨再生が飛躍的に活性化される可能性が出てきました。脊髄や神経の再生も同様です。
このように、医学の進歩により多くの福音がもたらされている中で一番大切なことは、自然経過を含め疾病をよく理解する事です。手術はあくまでこの人間のもつすばらしい自然治癒力を少しだけ手助けする手段にすぎません。日常生活のなかにスポーツや運動療法を取り入れ、健康を維持するということがとても重要なことといえるでしょう。


令和5年 昭和大学医学部整形外科学講座主任教授 工藤理史

昭和大学医学部整形外科学教室の特色

「国民の健康に親身になって尽せる臨床医家を養成する」という当大学創立の理念に基づき、まずは様々な臨床の場面に対応できる一般整形外科医を日本整形外科学会専門医カリキュラムに準じ育成致します。

同時に大学院生は整形外科分野の臨床的・基礎的な研究から、現在行われている臨床の裏付けを行い、また先進的な研究により新たな医療の可能性を探求しています。

豊富な経験と広い見聞にて、偏りのない一般整形外科医の専門医を養成した後に、それまでの研修を礎とした専門分野へのより深い研鑽を追求しております。

当教室の教育の現場は、昭和大学病院を筆頭にした、教育研修基幹病院(日本整形外科学会認定研修施設、常勤指導医5人以上)として昭和大学江東豊洲病院、昭和大学横浜市北部病院、荏原病院、日本鋼管病院、太田西の内病院、都立広尾病院、都立大塚病院、関東労災病院、NTT東日本関東病院、虎の門病院、日赤医療センター、横浜労災病院、朝日大学病院、さらに一般研修病院(日本整形外科学会認定研修施設、常勤2人以上)、関連病院の組織全体で行われます。
その他に非常勤として多くの病院や診療所と提携を結び、地域医療や外来診療における教育環境を整備しております。

医学博士号(学位)取得

大学病院のメリットの一つは、医学博士(学位)が取得できることです。一般に大学病院の講師以上、国公立病院(独立行政法人)の部長、一部の企業病院の部長職には、学位がないと昇進できません。マッチングシステムが導入され、大学病院に進む割合が減ったため学位取得者が少なくなっており、学位の希少価値がますます高くなりそうです。

昭和大学医学部大学院整形外科では、初期臨床研修が終わった卒後3年目から大学院への入学が可能になります。
他大学では後期臨床研修が終わってからでないと入学できないところもありますが、当大学は医学部卒業後3年目から入学できるところが大きな特徴です。また、社会人基礎系大学院では、医学部卒業と同時に進学可能です。この制度を利用すると、卒後4年で医学博士を取得することが可能です。他大学では難しい学位取得も、やり方によっては早い学年で医学博士を取得する事ができ、その後じっくり自分の希望する臨床の専門分野を追求する事ができます。

大学院コースの方は、医学博士号取得コースですので、全員が医学博士を取得できるように教室をあげて応援します。大学院卒業者は、『医学博士 甲(課程博士号)』が取得できます。

大学院コース以外の方(整形外科専門医取得コースの方)は、臨床系から研究を進めて『医学博士 乙(論文博士号)』を取得する事ができます。博士号取得の条件として臨床歴が6年以上、昭和大学医学部医学研究科主催の語学試験(英語、辞書持ち込み可)に合格しておく必要があります。
大学院コース以外の方は、全員『医学博士 乙』になりますが、博士号には違いません。当医局では、整形外科専門医取得コースからも、たくさんの先生が医学博士になっております。







沿革

当教室は、1928(昭和3)年4月に上條秀介医学博士らにより開校された昭和医学専門学校設立とほぼ同時に、同年5月15日に昭和医学専門学校整形外科学講座として開講されました。1926(大正15)年4月に誕生した日本整形外科学会の中では、日本で9番目の整形外科学講座という非常に長い歴史を持った教室であります。

その後、1946(昭和21)年には6年制大学に昇格したことにより、昭和医科大学整形外科学教室となり、1964(昭和39)年には昭和大学に名称変更したため、現在の昭和大学医学部整形外科学教室となりました。2008(平成20)年に開講80周年記念をむかえる事となりました。現在では全国に509名の同門を数えるに至り、全国でも有数の整形外科学教室の一つであります。

講座員

教員(専任)

氏名name
工藤 理史Kudo Yoshifumi
豊根 知明Toyone Tomoaki
吉川 泰司
Yoshikawa Yasushi
岡野 市郎
Okano Ichiro
新妻 学
Niitsuma Gaku
山村 亮Yamamura Ryo
清野 毅俊Seino Taketoshi
臼井 勇樹
Usui Yuki
早川 周良
Hayakawa Chikara
三橋 学
Mitsuhashi Manabu
土谷 弘樹
Tsuchiya Koki
諸星 明湖Morohoshi Akiko
百々 悠介Dodo Yusuke
豊田 仁志
Toyoda Hitoshi
長崎 計Nagasaki Kei
宮上 真Miyagami Makoto
中村 彰太Nakamura Shota
天野 貴司Amano Takashi
臼井 亮二Usui Ryoji
土屋 雄揮Tsutiya Yuki
ウェストファル 結衣